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プロ野球甦る名将伝説

 まさに球界きっての知将と呼ぶにふさわしい、孤高の存在感を放つ2人。「ID野球」と「オレ流」は瞬く間に野球メディアを席巻、斬新な戦法として認知された。それぞれに既成概念を打ち破る野球を生み出した、頭脳と人間性に迫る。

ボヤキ連発で奇襲作戦画策
 ヤクルト史上、最も勝率の高い指揮官。それは野村克也監督である。90年から98年の9年間でリーグ優勝4回、日本一3回。データ重視の「ID野球」は今日のプロ野球界に多大な影響を残したが、その初陣は奇襲戦法だった。90年4月7日、野村監督は看板選手だった池山隆寛を8番に下げ、開幕投手にプロ4年目の技巧派右腕・内藤尚行を送った。その内藤が、内幕をこう証言する。
「開幕投手の大役を告げられたのは、1週間ほど前でした。野村監督は『左の好打者の多い巨人打線には左投手が有利』という“ボヤキ”を繰り返したこともあり、当時、『僕が開幕投手ですよ』とマスコミに言っても誰も本気にしてくれなかった(笑)。監督はいつもどおり、普通の調整をさせてくれました。池山さんの打順降格にしても、巨人の開幕投手を斎藤雅樹さんと読み、右のサイドスローには左打者が有効と判断して、右打者の池山さんの打順を替えたんです」
 巨人打線に有効と目されていた左腕とは、フロイド・バニスターである。すでに133勝をあげていたバリバリのメジャーリーガーだった。野村監督はそのバニスターを「バニちゃん」と呼び、マスコミの目を向けさせた。狙いは内藤の調整を邪魔させないためだったのだ。
 ヤクルトを常勝チームに押し上げたのは、卓越した野球理論だった。
「就任して最初のミーティングでいきなり叱られました。監督の『ミーティング漬けにする』という発言を聞き、テレビで『眠くなっちゃう』と冗談を言ったら、『眠くなるなんて言ってるヤツがいるらしいな。なぁ、内藤』と(笑)。『耳順』という言葉も使われ、まずは聞く耳を持てと。『仕事には計画、実行、準備が大切だ』と訴えていました」(内藤)
 97年最多勝の川崎憲次郎もこう回顧する。
「キャンプ中のミーティングは毎日1時間から1時間半。野球よりも『人として』という話のほうが多かったですね。野球選手は引退してからのほうが人生は長い。まず社会人として、人間としての話でした。一般論として、野球の技術指導は『ガーンと来て』『ここでガツンと』と擬態語が多いですよね。でも、野村監督はカウント0-0から3ボール2ストライクまでの12種類について、具体的に打者心理を解説し、なぜバッティングカウントなのか、などを説明しました」
 野村監督が就任した年にプロ入り、後年、日本ハムで正捕手の座をつかみ、03年には星野阪神の優勝にも貢献した野口寿浩も言う。
「自分は二軍スタートでした。一軍キャンプ地のユマから野村監督のミーティングテープが二軍キャンプ地の宮崎に送られてきて、カセットでそれを聞くミーティングが行われました」

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