「大阪都構想」を巡る投票で敗れた後の会見で、橋下氏はテレビ出演に関し、
「求められたら今度は報酬もらいますよ。きちっと毎回、『文化人枠』じゃないやつで」
と語っていた。「文化人枠」とは、弁護士や評論家、政治家など「本業」のある文化人たちに、テレビ局がタレントとは別に設けたギャラの枠だ。「テレビ出演で名前を売り本業に生かせるから」という理由でタレントより格段に安く、1回出演につき数万~20万円ほどだという。
在京キー局関係者が語る。
「ただしテレビ出演で有名になった文化人は毎週末に講演を入れることができ、これが大きい。橋下さんなら全国の青年会議所などから90分で100万~200万円でも引く手あまたでしょう。そのうえで会見の言い方だとテレビ出演時にタレント並みの報酬を要求しているのだから、スゴイ」
単純計算で講演を毎週2回やれば、それだけで年収は1億~2億円。冒頭で触れた「タウンミーティング」の回数を考えると不可能でもなさそうなのだ。
さらに「本業」である弁護士業も見逃せない。
昨年11月には、国政に出てほしいという街の声に、
「私は政治家に向いていません。早く弁護士に戻って私利私欲の生活に戻りたい」
と答えたこともある橋下氏。弁護士業で得られる「私利」も激増しそうだ。
政治部記者が言う。
「橋下氏は首長時代に多くの政治家とパイプができたので、実は弁護士活動が最も収入増を見込めます。維新の党の顧問弁護士だけじゃない。橋下氏は、これまで二重行政対策として、民営化を掲げ多くの民間企業に働きかけてきましたが、そうした会社の企業顧問になることが大いに考えられる。おまけに菅義偉官房長官とも仲よし。安倍政権が続くかぎり菅さんは重要ポストでしょうから、現政権とつながりを持ちたい企業や団体も橋下氏を顧問として雇いたいはずです。記者とのバトルをみんな見ていますからね。橋下弁護士が顧問というだけで、『うるさそう』となる。水戸黄門の印籠みたいなもので、それだけで顧問にした企業には訴訟リスクを避ける意味で価値があります」
ちなみに弁護士の顧問料は月5万~20万円が相場だが、ひとたびトラブルが起きれば、裁判に向けての着手金や報酬金が顧問料とは別に発生。その額は争う金額しだいで、数億の訴訟を勝てば、それだけで数千万円の収入も得られるのだ。
まさに「政治家を辞めたらただの人」には絶対にならない橋下氏。在阪の教育関係者が嘆く。
「橋下政権下で大阪の公務員は給料が下がって公立学校の教師の志望者も激減。本当に人材に困っています。橋下さんは市長時代に自分の給料や退職金も減らしているそうですが、やりたい放題やって、任期が終われば別の仕事でますます稼ぎまくれるなんてね」
もちろん、こんな声が橋下氏の耳に届くはずもない。敗北会見で見せたギラついた笑顔が、政界引退後の金満ライフを充実させ、「次の野望」を満たす標的探しをもくろんでいるようにさえ見えてくる──。