キャンプ中から、原監督が幾度となく口にしていたのは、未完の大器、大田泰示(24)の4番構想。ミスターが松井秀喜氏をマンツーマン指導で一本立ちさせたように、自身の手による生え抜き和製大砲育成は悲願だったが、これもあっさりと頓挫した。
「4月30日以降、10試合で4番に抜擢されましたが、5月13日には1番に移動。スタメン出場しない試合も増えていきました。4番なのにコンパクトに流し打ちしようとするなど怖さがなく、試合を決める一発を打てるわけでもなかったですからね。失格の烙印が押された形です」(スポーツ紙デスク)
大田については、原監督が本当に和製大砲に仕立て上げようとしていたのか、はなはだ疑わしい、こんな話まである。明かすのは球団関係者だ。
「13年、巨人はDeNAにトレードを打診していました。まだブレイクする前の筒香嘉智(23)の強奪に動いたのです。その交換要員が大田だったといいます。もちろん、この話はまとまりませんでしたが、三冠王も視野に入る筒香の活躍を目の当たりにして、原監督も複雑な思いでしょうね」
これでまた大誤算男が1人増えることになり、やがて4番には坂本勇人(26)が座ることに。巨人担当記者によれば、
「消去法での選択ですよ。しかし坂本は現状、4番タイプではなく、根本的な解決策になっていない。坂本自身も『(4番の)タイプじゃない』と、歓迎してはいない様子です」
ちなみに、チームの柱となった坂本は打率2割4分6厘で、セ・リーグ打撃成績の第22位。本塁打はわずか3本である(5月28日現在。以下同)。とはいえ、そもそも巨人には打撃10傑に入る打者は1人もおらず、坂本の数字がチーム最上位という体たらく。余談だが、1番での出場が多い長野久義(30)にしても、
「すごく嫌がっていますね。落ち着かない打順だから、と。『いちばん嫌な打順です』とまで言っています」(巨人担当記者)
こうして誤算の波はあちこちに押し寄せ、原構想に次々と狂いが生じていく。
坂本の低打率が象徴するように、チーム打率はリーグ5位で、得点数も同4位。防御率はリーグトップだけに、「投高打低」は明らかである。そのせいか、こんなエピソードも。
「昨オフ、巨人を退団してDeNAに移籍したロペス(31)の活躍ぶりですよ。巨人内では今、『ロペスを残しておけばよかったじゃないか』との声がしきりで、原監督もロペスが活躍する姿を見て悔やんでいるようです」(スポーツライター)
セ・リーグ打率7位で2割9分7厘、8本塁打の数字を見れば、そんな気持ちになるのもわかろうというもの。放出は誤算だった。