開幕間近になって、各球団ともレギュラー、ポジション争いは最終段階に入った。ことに今季の巨人は、12球団で最も激しい「ベンチ入り25人枠」を競っている。指揮官にとっては悩ましいやらうれしいやらで‥‥。
かねてから原辰徳監督(56)が「決まらない」と頭を悩ませているのが、打線の軸となる「4番打者」。スポーツ紙デスクが言う。
「ミスターがゴジラ松井を4番に育てたように、原監督も和製大砲を作るという功績を残したい。その候補者が、ひときわ目をかけている大田泰示(24)です。監督は昨年後半から『彼を下位で使うくらいなら、レギュラーでは使いません』と公言し、今年に入ってからも幾度となく『4番候補だ』と発言。オープン戦でも主に4番に据えました」
ベテランの巨人担当記者が分析する。
「毎年、相手投手がきちんとした配球をしていないオープン戦序盤は調子がいい。ところが中盤にさしかかり、ちょっと内角を攻められるとダメ。さほど厳しいコースでもないのに、あれだけ打てないならシーズン中はもっと打てなくなる」
原監督が「どのカウントでも同じようなスイングに見える」と話すなど、いよいよ見切りをつけるのでは、と思われた3月11日のソフトバンク戦。大田は初回の走塁の際に左太腿裏を負傷。左大腿二頭筋の肉離れと診断され、ついに「開幕アウト」を宣告された。
大田の自滅で原監督が描く「新・和製大砲」の野望は頓挫。だが、もう1人の候補者、村田修一(34)もドン底にあえいでいる。オープン戦の打率は1割5分6厘(3月13日現在)。原監督は球団公式サイト内の「原監督日記」で、次のように酷評していた。
〈思えば、去年一年間、村田はずっと同じようなバッティングでした。(中略)スイングが遅く、スイングが弱いのです。(中略)しかし、今の村田なら、去年と同じままです〉
球団関係者が嘆息する。
「村田は一塁も守らされているが、もしかすると三塁を外されるかもしれない。そして控えに回るか下位に下げられたり、終盤の一塁の守備固めに使われたりという事態が現実に起きると、チーム崩壊の火ダネになる。そもそも昨年も、開幕4番に抜擢されながらすぐに降格、バントを命じられたり8番を打たされたりした。原監督は『俺の“注射”はよく効くんだ。できれば打ちたくないけど、修一は注射を打つとすぐ打つからね』と、村田の打撃が復活したら俺のおかげだ、と得意げだった。しかし今、さすがに注射の効き目は消え、村田はキレかかっている。原監督は今キャンプでも、グチグチと苦言を口にしているしね‥‥」
何やら遺恨全開。3月12日、村田は二軍での再調整を言い渡され、開幕は微妙な情勢となっている。
となると結局は、守備の負担を減らし打撃に集中するため一塁に転向した阿部慎之助(35)が浮上することに。右ふくらはぎ痛で別メニュー調整を余儀なくされたが、巨人担当記者はこう話すのだ。
「候補者3人は全員、失格かもしれません。でも阿部が復調すれば、原監督は4番に置くでしょう。『慎之助に頼らないチームを作る』と偉そうなことを言いながら、最後には4番として頼ろうとしている」
まぁ、これが順当といえば順当な結末か。