リーグ優勝候補の筆頭格、巨人に影が差している。交流戦突入後も圧倒的な戦力で好調を維持しているかのように見えるが、水面下では暴発寸前の男たちがうごめく事態に発展。指揮官を大いに悩ませているのだった。
ルーキーながら先発ローテーションに入り、すでに6勝(5月28日現在。以下同)。「高木ボール」なる用語も生まれ、うれしい誤算とも言うべき存在が、巨人投手陣の要となった高木勇人(25)だ。天然かつイジられキャラだという高木は、
「お菓子が好きですが、食べ過ぎて太るからと、代わりに豆を瓶に入れて持ち歩いているそうです。先輩野手は『豆』というアダ名を付けてイジッて遊んでいます」(スポーツライター)
だが、うれしい誤算の陰では本当の大誤算も次々発生。好調なチームを脅かす「内なる敵」と化している。
最大の誤算は、阿部慎之助(36)のコンバートによる「4番・一塁」構想。未来の正捕手候補である2年目の小林誠司(25)を育てながら使うため阿部の代わりにヤクルトからベテランの相川亮二(38)をFAで獲得し、万全の体制を敷いたはずだった。だが、開幕直後の4月2日に相川が右太腿の肉離れを発症し、戦線離脱。いきなり歯車は狂い始め、あっけなく「阿部再転向」の措置が取られたのである。
「阿部はシーズン前、『絶対に捕手には戻りませんから』と不退転の決意を語っていたのに。しかも5月20日に相川が一軍復帰する一方で、打撃、リードともに力量不足を露呈した小林が二軍落ち。何事もなかったかのように、『捕手・阿部』続行となりました。全ては『私と慎之助で話し合って、強い決意で‥‥』と『一塁手・阿部』を語っていた原辰徳監督(56)の焦りからくる決断。選手たちも『あんなの、ありえないでしょ』と不満を口にしているし、こんなことをやっていたら小林の育成は放棄したも同然。試合で使っていかないことには育てようがないわけで、それがわかっていて原監督は『もし小林が苦労するのであれば、それは我々(首脳陣)の責任だというぐらいの気持ちでやっていきます』とまで言っていたのに‥‥」(スポーツ紙デスク)
相川と小林をうまく併用しながら戦うとの計画は崩壊し、全てをひっくり返してしまった原監督。
「今季、阿部が一塁に戻ることはもうありません。事実上の頓挫です」
と語るのは、球団関係者である。
「相川の復帰や調子とは関係なく、です。相川に続いて、阿部も左太腿の肉離れで4月18日に一軍登録を抹消されましたが、二軍でリハビリ中に原監督から電話がかかってきました。『引き続き捕手でやってもらう。そのつもりで準備をしておいてくれ』と。阿部は驚きました。相川が復帰したら、自分は当初の予定どおり一塁に戻ると思っていたからです。あくまで相川復帰までの暫定捕手である、と」
かくして巨人における「今季の目玉」構想は大誤算とともに泡と消え、代役4番探しとなったのだ。