東京の調布飛行場から飛び立った小型飛行機が住宅地に墜落し、3人の死者を出した航空機事故。この痛ましい事故が起こった地点は滑走路から約500メートルの距離だという。飛行場の付近には住宅地以外にも大学やスタジアムなど様々な施設が点在している。
調布飛行場のすぐ南側には味の素スタジアムが、そして西側には東京外国語大学のキャンパスが広がっている。これらの施設は、もともと米軍基地だった通称“関東村”が日本に返還され、再開発された場所にオープンしたもの。いまでもこの付近では米軍基地の遺構を見つけることができる。
一方、東に500メートルほど離れたところには国立天文台が広い敷地を構えている。これは1924年(大正13年)に手狭になった東京・麻布から移転してきたもの。そして残る北側には、最近話題になった大学が広大な敷地を誇っている。戦後に設立された、ICUこと国際基督教大学である。
飛行場からICUまでは最短距離で600メートルほど、大学本館までは約1キロほどの距離だ。ICUと飛行場の間には野川公園が広がっており、野川公園で遊んでいると小型機が頭上を飛んでいく様子をごく普通に見ることができるのだ。
今回の事故は飛行場の南側で発生した。調布飛行場では風向きの関係により、約7対3の割合で南向きの離陸が多くなっているが、北向きに離陸することもないわけではない。つまり、離陸機に不具合が発生した場合、ICUのキャンパス内に不時着もしくは墜落する可能性もゼロではないのである。
そのICUだが、最近のニュースで初めて名前を知ったという人も少なくないだろう。秋篠宮佳子さまが学習院大学を中退し、今年4月にICUの教養学部アーツ・サイエンス学科に入学されたものだ。佳子さまは4月2日の入学式以降、学生の一人としてICUに通われている。
墜落事故が起きた7月26日は日曜日だったうえ、ICUでは夏期一斉休業の最中のため、キャンパス内に人はほとんどいなかったはず。学生や佳子さまが不安を感じることはなかったわけだが、事故がいつ起きるかは誰にもわからない。それにどんな人であっても事故には巻き込まれたくないし、巻き込まれるべきではない。次なる事故が二度と発生しないように祈りたいものである。
(金田麻有)