何が起きたかはわからないが、緊迫した事態であったことは確かだ。
6月15日、東京都福生市の在日米軍横田基地で「職員らに建物から避難するよう」指示が出された。避難対象になったのは、日本人が年に一度、友好祭りの時だけ入ることが許される、福生ゲート周辺等の建物だ。
横田基地の発表によれば、午前10時20分頃に「安全上の脅威」が報告されたという。基地内の安全確認後に、避難命令は解除された。米軍の準機関誌「星条旗新聞」は、基地に対して爆破予告があったと報じている。
テレビ朝日は12時過ぎ「大下容子ワイド!スクランブル」の番組内で「避難指示騒動のさなか、韓国を飛び立った民間の機体が基地の滑走路に着陸」と報じ、同日夕方にはNHKが横田基地所属の米軍ヘリコプター2機が東京・調布市の調布飛行場に緊急着陸したとしている。へリの乗務員にケガはなく、エンジントラブルなども確認されていないという。
安全機密上、米軍が知り得た情報を日本国民と共有することはありえないが、同じ日に韓国民間機と在日米軍ヘリが緊急着陸する非常事態。19時24分と36分には北朝鮮が2発の弾道ミサイルを発射し、石川県の北西、日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下したことから、とうとう日本の上空も安全ではなくなったのだろう。
そこで、思い出すのが「大韓航空墜落事故」「911アメリカ同時多発テロ」だ。一周回って、飛行機で特攻されたらどうやって身を守ればいいのか。絶望するしかないのか。内閣官房のサイト「国民保護ポータルサイト」をかいつまんで紹介すると、
【1】速やかにその場を離れ、頑丈な建物に逃げる
【2】その際には身を低くする
【3】粉塵や煙、毒ガスを吸い込まないよう鼻と口を塞いで逃げる
【4】安全が確認されるまで水道水は飲まない
また、2021年9月12日の読売新聞「『9・11』90階の地銀支店、脱出10分後に職場が崩落…2001年9月 あれから」という記事によれば、飛行機が突っ込んだ貿易センタービルで、突っ込まれたフロアの3階下で勤務、助かった銀行マンは「避難マニュアル」に書かれた機密書類の破棄よりも、ヘルメットなどで身を守った上で、部下とともに、すぐに逃げることを優先したという。
テロや事故に遭った時にまで、社畜でいる必要などない。生き延びた上で、始末書を書けばいいのだ。何が起きているか瞬時に把握するのは難しいが、爆発、崩落している場所からすぐに離れることを肝に銘じよう。
(那須優子/医療ジャーナリスト)