あの黒木瞳(54)が、映画監督に初挑戦する。桂望実氏のベストセラー小説「嫌な女」にほれ込み、4年前から映画化に向けてみずから企画を温めていたという。はたして“大女優サマ”に、現場が仕切れるのか──。
「あの人が一切カメラに映らずに裏方に徹するなんて、想像できません」
黒木の監督業進出に関して、こう吐露した映画関係者が眉をひそめて話す。
「とにかく自意識が強く、いかに自分を美しく見せるかにこだわってきた。黒木には専属の照明マンがいて、その日の肌の状態を見極めたうえで、アラが出ないよう絶妙なライティングをするのです。黒木が絶大な信頼を寄せる一方で、撮影現場では『何で部外者が‥‥』と不評を買っていました」
とはいえ、出演作への思い入れも強く、そのプロ意識の高さから、共演女優と衝突することも珍しくない。
「台本を覚えてこないとか、基本的なことができない新人にはかなりキツく当たります。黒木にとっては愛のムチでも、それがトラウマになって女優業を断念したタレントは1人や2人ではありません。また、彼女の機嫌を損ねないように、同じ宝塚出身者をはじめ、共演NGにする女優も少なくないと聞いています」(前出・映画関係者)
撮影現場では、原作さながらの“嫌な女”の片鱗を見せていた黒木。だが、ここ最近は「女王様」ぶりが豹変しているという。
「使いっ走りのような新人スタッフにも気を遣ってくれますよ。差し入れは共演者だけでなく、スタッフ全員に行き渡るように、100個単位で持ってきてくれます。時間にうるさい黒木さんが、ある撮影に遅刻してしまった時も、有名店のパンを差し入れするために、焼き上がりを待っていたと、あとで聞いて胸を打たれました」(ドラマスタッフ)
ふだんの気難しいイメージがあるだけに、こうした配慮は現場に「優しい黒木」を強く印象づけている。
「ドラマの打ち上げでは、短いスカートのサンタのようなコスプレで、宝塚の歌を熱唱してくれたんです。若々しい太腿をさらして、スタッフは大盛り上がり。絶対にわざとだと思いますが、かなり音痴気味に歌っていたのが、よけいにチャーミングでした」(別のドラマスタッフ)
モロ肌をさらしても有能なスタッフを囲い込む──この頃から監督への準備を進めていたようである。
「黒木がかねてからライバル視する桃井かおり(64)は06年に『無花果の顔』で長編監督デビューしてハクを付け、現在はジュエリーデザインや、教授職など活動の幅を広げている。そんな桃井への対抗心もあって、今回初メガホンを取る作品は、『失敗が許されない』と思っているようです」(前出・映画関係者)
8月1日にクランクインした初監督作の主演女優はまだ発表されていない。
「集中すると周囲が見えなくなる黒木さんが、主役の演技に厳しいダメ出しをするのは必至。映画『影武者』(80年)で、黒澤明監督と勝新太郎が衝突したような降板騒ぎが起きなければいいのですが‥‥」(芸能記者)
無事に封切りを迎えられるか──。