最近のタレント写真集には、ロケ地として国内が多用される傾向が目立つ。かつて判で押したように南の島のリゾートで撮られたアイドルやグラドルの写真集でさえ、国内、それもタレント本人の実家周辺や母校といった場所が選ばれているのだ。
本が売れないと言われる昨今、コストダウンもやむなしといった事情があるのは間違いないが、理由はそればかりではないようだ。ベテランの出版関係者は明かす。
「写真集の売り上げは、タレントによっては好調なんですよ。AKB48の小嶋陽菜やNMB48の山本彩は直近の写真集がそれぞれ9万部を突破し、10万部に迫る勢いです。これは、又吉直樹の『火花』も含めたタレント本全体のランキングでもベスト5に入る売れ行きです」
では、なぜ国内ロケの写真集が目立つようになったのか。前出の出版関係者がこう続ける。
「部数の読めるタレントであれば海外ロケも躊躇しません。現にこじはるはロサンゼルスで撮影しています。ただ、一般的なアイドルやグラドルの場合、そこまでコストをかけられませんし、比較的安く済むサイパンやグアムでは定番すぎて面白味がない。それでタレント本人の地元などをロケ地に選ぶケースが増えているんです」
また読者のほうにも、気軽に行ける国内ロケの写真集ならではの楽しみ方があるのだとか。
「特にアイドルの場合、ファンはプライベートを知りたがる傾向にある。写真集を見て撮影場所を探し当て、実際に現地を訪れることを“ロケ地巡礼”といって楽しんでいる人たちが大勢いるんですよ」(前出・出版関係者)
こうした熱心なファンにとって、写真集はガイドブックのようなものか。いろいろな楽しみ方があるものだ。
(栄巌鉄)