すべてが終わり、そしてすべてがそこから始まった「終戦」というあの夏から70年──。日本は世界にも類を見ない焼け跡からの復興を果たしたが、その原動力にあったのは、美しきアイドルたちの存在だ。時代とともに選ばれたアイドル近代史をここに検証する。
まずは、戦後70年のオールタイムでアイドルの「神7」を選んだら誰になるのか。もちろん、年代によって活動メディアも比較基準も変わってくるが、「いかに男たちの胸をキュンとさせたか?」という一点ならば、この7人ではなかろうか。
吉永小百合
日本の芸能史上、熱烈ファンが「サユリスト」と呼ばれたのは初めてのこと。歌う映画スターとして誰からも愛される特別な存在だった。
南沙織
それまでスターという呼び方しかなかったが、ついに「アイドル」の第1号に。南の島からやって来たシンシアは、洋風な香りが魅力。
山口百恵
デビュー時は新人賞の枠にも入らなかったが、危険な路線に転じて大ヒット。以降、映画・ドラマ・レコードと70年代の女王に成長。
キャンディーズ
石破茂国務大臣が断言するように、日本のアイドルグループの完成形となった。社会現象となった幕引きの鮮やかさも永遠に名を残す。
松田聖子
山口百恵の引退と前後して登場した聖子は、80年代を象徴するアイドル像を確立。35周年の今も、現役アイドル然としているのは驚異的。
小泉今日子
デビュー当初は「聖子フォロワー」に過ぎなかったが、髪を刈り上げ、自身を「小泉」と客観視するようになって唯一無二の存在に昇華。
AKB48
ありそうでなかった「会いに行けるアイドル」というコンセプトを打ち出し、グループ内の人気を争う総選挙は毎年の恒例行事となった。
50年以上も第一線にいる吉永小百合の偉大さは、現在の「モノノフ」のルーツと呼べる「サユリスト」という総称が生まれたこと。スターとファンの“信頼関係”が生まれた貴重な瞬間だ。
そして70年代には「アイドル」という言葉が日本に定着し、きらびやかな逸材が続々とデビューする。第1号となった南沙織、歌だけでなくドラマや映画でも支持を得た山口百恵、そして解散を国民的関心事にしたキャンディーズが「神7」の中枢に入るだろう。
さらに空前のアイドルブームが巻き起こった80年代、松田聖子や小泉今日子がこれに続き、現在のAKB48の天下まで歴史を紡いでいくのである。
(石田伸也)