クラシック3冠目「菊花賞」「秋華賞」を目指し、牡牝ともにトライアルがスタート。中山で「セントライト記念」、阪神では「ローズS」が行われる。春GI戦線で活躍した馬か、夏の上がり馬か。馬券的には難解な戦いだ。
9月21日のメイン、セントライト記念は、周知のとおり菊花賞の関東における前哨戦、トライアルレース(1~3着馬は本番の優先出走権を得る)である。
1週後に行われる関西の神戸新聞杯は、1ハロン距離が長い2400メートル。それだけに近年こちらのほうにより強力なメンバーが集う傾向があるが、それでもこのレースは毎年、本番で上位争いを演じる馬が勝ち負けしているということは頭に入れておくべきだ。
菊花賞は3000メートル。2200メートルのセントライト記念は、長距離戦とは言いがたい。しかし本番でも好走可能なスタミナ豊富な馬に目をつけるのが、馬券的な筋ということだろう。
では、顔ぶれを見てみよう。ダービー2着サトノラーゼンを筆頭として、皐月賞3着キタサンブラック、タンタアレグリア、ブライトエンブレム、小倉記念で2着と好スタートを切ったベルーフ、さらにはミュゼエイリアン、ミュゼゴーストと、なかなかである。
これらが人気になるのだろうが、いずれも賞金的に本番の出走権は、ほぼ手中にしているし、またベルーフ以外は休み明け。本番に余力を残すべく、ここは八、九分の仕上げで出走してくることが察せられる。
であれば、これら有力どころに全幅の信頼を寄せていいものか、疑わしいところである。なら、ここで勝ち負けするか、3着以内に入って何としても出走権を、と全力を傾ける他の馬に目を向けるべきだろう。
最も期待したいのは、レッドライジェルである。
前走は3カ月半ぶりの実戦。乗り込まれており、前々走比18キロ増の体重での出走だったが、重め残りの体には映らなかった。しかし、ハナから走りっぷりが悪く、追っても反応せず7着と2番人気を裏切ってしまった。やはり久々がこたえたと見るべきなのだろう。
使われて一変、美浦トレセンに帰厩後の状態がすこぶるいい。稽古の動きがガゼン素軽くなり、また脚の運びが前走と違って大きく滑らかになっているのだ。
厩舎関係者によると、
「体重はそれほど変わっていないが、締まって張りのある体つきになっている。春先と違い、たくましく成長したことも確か」
とのこと。であれば、あらためて注目すべきではないか。
マイル戦を得意としているレッドセシリア(準オープン)の弟だが、こちらは2000メートル前後の距離に実績がある。しかも強烈な瞬発力が武器で、セントライト記念と同じ中山の2200メートル戦(山吹賞)を勝っている(中山は2戦2勝)。まさにここは、この馬にとって格好の舞台と言っていいわけだ。
ステラマドリッド(米GI4勝)、ハーツクライ(有馬記念、GIドバイシーマクラシック)など多くの活躍馬が近親、一族にいる良血。好走必至と見た。
逆転候補で穴馬として名をあげたいのは、プレイヤーハウスである。500万平場を勝ち上がったばかりだが、厩舎期待の秘蔵っ子。成長の余地を残しているが、あか抜けた好馬体で素質のよさは有力馬に決して見劣らない。
スタミナ豊富な馬に目をつけろと前述したが、この馬はまさにそれ。メイショウサムソン(皐月賞、ダービー、天皇賞春・秋連覇)を出したオペラハウスを父に、トウカイテイオー(ダービー、ジャパンCなどGI4勝)が母の父。血統的に極め付きのステイヤーと言っていい。
近親、一族にはクアッシュド(英オークス)、ソーブレスト(本邦輸入、名種牡馬)など多数の活躍馬がいる。こうした血統的な背景があり、目が離せない存在だ。