最低でも30億! あらゆる大ヒットへのお膳立てとともに9月19日に満を持して公開された、邦画超大作の後編「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」が窮地に陥っている。
というのも、上映館1館で通常版、IMAX、4DXまで独占するシネコンがある「進撃」に比べ、公開スクリーン数が6割程度しかない桐谷美玲主演の映画「ヒロイン失格」に日に日に観客動員数で突き放されているからだ。
「公開初日19日、20日の動員ランキングこそハナ差の1位で、配給の東宝は『またまた1位発進!』と大ヒットを必死に装っていますが、シリーズものが初日に動員が多いのは当たり前。ところが『進撃』は日が進むにつれて動員が右肩下がり、主演の桐谷が客席でお忍び鑑賞してツイッターを騒がせるなど、女子のハートをがっちりつかんだ『ヒロイン』は日に日に座席販売率がアップして、実際はシルバーウィーク5日間で、進撃は56万人、ヒロインは67万人で完全に逆転しました。その後も開く一方です。前編もまさかのミニオンズにやられましたが、今度は同じく漫画原作で映画初主演の桐谷美玲ですからね、ディープな映画ファンの間では、進撃のスタッフは全員クビが飛ぶレベルだと騒がれています」(エンタメ誌編集者)
TOHOシネマズは観客動員の見込める新宿や渋谷であえて「ヒロイン」を上映せず、さらに好調が続いていた「ジュラシック・ワールド」の4DXやIMAXを打ち切ってまで「進撃」に箱(スクリーン)をあてたわけだが、連日のガラガラぶりに支配人たちの堪忍袋の緒が切れたのだろう、10月からIMAXなどを再び「ジュラシック」に戻すシネコンも多いのだとか。
さらに“進撃の惨劇”は今後にも影響を及ぼすと前出・編集者は語る。
「タイトルが発表されたばかりですが、東宝が力を入れまくっている来年夏公開の『シン・ゴジラ』です。監督が『進撃』の樋口真嗣、メインキャストが同じく『進撃』に出ていた長谷川博己と石原さとみですから、関係者がどういった戦略を皮算用していたかはおわかりかになるでしょう。ところがいまや『進撃』は出演者にも黒歴史。これを謳えなくなったことで大幅に軌道修正するでしょうね。東宝としては『エヴァンゲリオン』で信者の多い、総監督の庵野秀明を前面に出すしかなくなりました。進撃の文字や樋口監督の名前は必要最小限にしか扱われないでしょう。新宿や渋谷から追い出したはずのヒロイン桐谷に強烈なビンタを食らった形です」
とにかく、やることなすこと裏目に出た「進撃の巨人」。後編は興収20億円も危ないといわれる状況だけに、“ヒーロー失格”映画のレッテルを貼られるのは間違いなさそうだ。
(藤田まさし)