9月19日に公開される超大作邦画の後篇「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド・オブ・ザ・ワールド」。ご存知、8月1日に公開された前篇は原作ファン、映画ファン、はたまた監督や製作者まで巻き込んで、前代未聞の罵り合いとなった。結果、ハリウッドの超大作には遠く及ばなかったものの、酷評による怖いものみたさの宣伝効果もあり、本来の目標の5分の3程度とはいえ興収30億円という立派なヒット作になった。これには、ある人物の活躍も実ったと映画に詳しいエンタメ誌記者は語る。
「主演の三浦春馬ですね。酷評が浮き彫りになった8月中盤から約1カ月。9月上旬まで記録的な回数の舞台挨拶をこなしました。全国津々浦々、ざっと数えただけでも30回以上の舞台挨拶をしています。当初から多少の予定は入っていたでしょうが、回数は大幅に増やしたはず。舞台挨拶のつるべ打ちを映画界のスラングで“ドーピング”と言いますが、そのドーピング効果は地味ながら実ったと思いますね。それが公開1カ月以上、地道に興収を伸ばした大きな要因のひとつです」
前篇の大コケ報道により、「永遠の0」に続くモンスターヒットで三浦を映画界のトップに押し上げようとした所属事務所の皮算用が崩れかけ、なりふりかまわず“進撃”したという意地悪な見方もあるようだが、公開される後篇の規模を見て、その関係者の必死さにも納得したと記者は言う。
「配給する東宝の圧力に脱帽です。大手シネコンのTOHOシネマズは子供たちも大勢詰めかけるシルバーウィークだというのに、まだチケットが買えないと苦情も多い『ジュラシック・ワールド』の4DXや人気のIMAXをすべて『進撃・後篇』にスパッと切り替えます。これには映画ファンも『いくらなんでもやりすぎ』とおおいに苦言を呈していますが、会社のプライドのためなら容赦なし。映画の上映時間もたったの87分と短いですから、たとえば新宿なら4DX、IMAX、通常版で1日合計24回上映されますからね。ジブリ映画でもここまでの回数はない。この大規模興行が当初から予定されていたとしたら、前篇を絶対にコケさせるわけにはいかなかった。今回は夏休みと違い新作にライバルもいないですから、圧倒的1位スタートで酷評している世間をギャフンと言わせるつもりでしょう」(前出・エンタメ誌記者)
それでも、あざとさ満点の2部作興行は失敗の例が多いのが映画界。まさか9月、10月も三浦春馬の“引き回しの刑”が敢行されるのだろうか。
(藤田まさし)