●ゲスト:紀里谷和明(きりや・かずあき) 1968年、熊本県生まれ。83年、15歳で単身アメリカへ渡り、デザイン・音楽・絵画・写真などを学ぶ。94年、写真家としてニューヨークを拠点に活動を開始。以降、数々のアーティストのジャケットやミュージックビデオ、CM制作を手がける。PV撮影を通じて知り合った宇多田ヒカルと02年に結婚(07年に離婚)。04年、「CASSHERN」で映画監督デビュー。09年には2作目「GOEMON」を制作、俳優として出演も果たした。11月14日より、初のハリウッド進出作「ラスト・ナイツ」がTOHOシネマズ、スカラ座他にて全国ロードショー。
いち早くCGを大胆に導入した斬新な映像が話題を呼んだ「CASSHERN」でデビュー後、映画監督としてその才能を発揮している紀里谷和明。今回、ハリウッドで撮り上げた最新作をいち早く観た天才テリーは大感激! 興奮冷めやらぬままに、その舞台裏を直撃した!
テリー 紀里谷さんの最新作「ラスト・ナイツ」を観させていただいたんですけど、とてもおもしろかった。すばらしい映画でした。
紀里谷 ホントですか? それはうれしいなぁ。ありがとうございます。
テリー これ、物語のベースは「忠臣蔵」ですね?
紀里谷 そうです。侍を西洋のナイト(騎士)に置き換えて、主君に対する忠誠心や誇りみたいなものを描きたいと思いました。
テリー 紀里谷さんのハリウッドデビュー作になるわけですけど、これはどういう経緯で?
紀里谷 前作の「GOEMON」を撮り終わったあとに、海外のプロデューサーから脚本が持ち込まれたんですよ。これがそれまでに読んできた何百本という脚本の中でも久々によく書けたものだったので、もう興奮して「すぐ撮らせてください」とお願いして。
テリー 一目ボレですね。その脚本は、映画そのままの内容でした?
紀里谷 いや、実はけっこう変えてます。最初は「忠臣蔵」の物語をそのまんま、外国の役者を使って、日本で撮影するという内容だったんです。
テリー へー、絵だけ想像すると、何か奇妙な感じじゃないですか。
紀里谷 そうなんです。あと、そもそも「忠臣蔵」自体、日本では、すでにいろいろな形ですばらしい作品がありますから、わざわざ英語劇にしてやってもしょうがないだろう、と。
テリー それはそうだね。
紀里谷 そこで思い出したのが、黒澤明監督の「乱」なんですよ。あれはシェイクスピアの「リア王」を戦国時代の日本に置き換えた話だったから、その逆をやればいいんじゃないかと。で、どうせそこまでやるなら、いっそ人種の壁を超えた話にしたいって提案したんです。
テリー なるほど。それでいろいろな国の役者がキャスティングされているし、架空の国の設定になってるんですね。
紀里谷 そうなんですよ。
テリー モーガン・フリーマンをはじめ、そうそうたる役者陣が参加してますけど、これはどのぐらい紀里谷さんの希望が通ったんですか?
紀里谷 モーガン・フリーマンと(主演の)クライヴ・オーウェンに関しては100%ですね。まず、この2人からOKが出るとは思わなかったので、これはうれしかった。それ以外についてはキャスティングディレクターと相談しながらオファーしていきました。
テリー 出演者の中では、俺は悪役のアクセル・ヘニーがすごくよかったと思いましたね。もう見るからに変態で(笑)。
紀里谷 ええ。彼はノルウェーの俳優で、前から「ヘッドハンター」っていう主演映画が大好きだったんですよ。「出てくれるかもしれない」って聞いた時は驚きましたね。
テリー 日本人代表の役者さんは、伊原剛志さんでしたね。
紀里谷 伊原さんは以前からちょっと面識があったので、スケジュールが大丈夫かどうか直接メールしたんですよ。そうしたら「空いてます」って知らせてくれたので「では、お願いします」と。
テリー 伊原さん、カッコよかったなぁ。個人的には、今まで観た伊原さんの役の中でいちばんよかったかもしれない。
紀里谷 あ、それはホントにうれしいな。伊原さんも喜ぶと思いますよ。