向井理が主演を務めるドラマ「遺産争族」(テレビ朝日系)が好調だ。初回放送で14.2%を記録し、第2話以降も10%台を維持。前クールの「エイジハラスメント」が1回も10%に届かなかったのとは対照的に、大健闘を見せている。
その向井といえば「低視聴率男」「大根役者」の異名を取り、数字を持っていないと評判だったのだが、ついに汚名返上に至ったのだろうか。テレビ誌のライターが解説する。
「本ドラマの見どころは主人公の向井ではなく、実力派揃いの共演女優陣です。ヒロインの榮倉奈々はもちろん、他の女優たちも素晴らしい演技でドロドロとした相続騒動を描き出しており、ドラマとしての出来がいいんですよ」
榮倉は華麗なウェディングドレスを披露し、その姿は「俺と結婚してくれ!」や「こんな可愛いお嫁さん、憧れる!」などと、男女を問わず絶賛の的に。その家族として登場するのが、榮倉の母親役を務める余貴美子、そして叔母役の板谷由夏と室井滋だ。前出のテレビ誌ライターが続ける。
「この余、板谷、室井の三姉妹は、ドロドロの遺産相続騒ぎを演じるのにまさにうってつけ。しかも板谷は独身のカメラマン、室井は夫に先立たれた未亡人というドンピシャリの役で、視聴者もこの三姉妹の人間模様にハラハラドキドキでしょう」
その三姉妹に対し、主人公を女手一人で育てた母親役の岸本加世子の演技もまた、見どころの一つ。息子の妻である榮倉に向かって「あんたなんて脚長いだけ!」と言い放つシーンでは、本当にそう思っているのではと裏読みしたくなるほど、迫真の演技を見せている。
そんな女優陣に対して、主演・向井の演技はどうだろうか。テレビ誌のライターはこんな評価を教えてくれた。
「正直なところ彼はさほど演技が達者とは言えないのですが、周りの女優陣があまりにも上手いおかげで、向井の演技まで良く見えている気がします。少なくてもドラマを壊す演技になっていないぶん、及第点かもしれませんね」
そんな向井は演技にこだわるタイプで、撮影現場でも自分が納得いくまで議論を重ねることも。そんな態度が疎まれているという話もあるが、本作では妙齢女優陣に圧倒されて、そのこだわりも発揮できていない可能性もある。向井が埋没しているほどドラマの出来が良くなるなら、それはそれでありなのかもしれない。
(金田麻有)