お正月大作公開前の映画閑散期といわれる10~11月だが、先日の3連休には邦画を中心にアニメや恋愛モノ、そして話題のホラー作品が公開された。
興収的には低レベルの争いだったものの、みごと週末1位をゲットしたのは、主演の西内まりやがテレビ局ジャックとばかりに各局に顔を出し宣伝しまくっていたラブストーリー「レインツリーの国」(興収約1億2000万円)。一方で、期待されながら7位に撃沈してしまったのが、「リング」の中田秀夫監督で島崎遥香が主演したJホラー「劇場霊」だ。
Jホラーの巨匠が監督し、劇場やチラシなどの事前告知も申し分なく、急性胃腸炎ながら新宿での舞台挨拶に強行出陣した島崎遥香の意気込みも報道されるなど、ヒットの要素は多分にあったのだが、フタを開ければ「劇場霊」はかなりの大コケとなってしまった。週刊誌映画担当編集者が検証する。
「原因はいくつか挙げられると思いますが、中田秀夫監督で元AKB48の前田敦子が主演した『クロユリ団地』(13年)もその1つといっていい。あの作品はむしろ予想外のヒットとなり興収10億円を達成しましたが、肝心の中身は映画サイトのレビューを見ればわかるとおり、酷評の嵐です。あれで中田監督とアイドルの組み合わせに見切りをつけてしまった人が少なくなかった。それと“キャッチコピー”の『「女優霊」から20年』もマズかった。中田監督の出世作となった『女優霊』は、ホラーファンから『リング』以上の評価を受けている作品。あのレベルの怖さを期待した人たちから『劇場霊』にはガッカリしたという声を多数聞きました。そしてなにより、一番の敗因は公開時期。クリスマスも間近、西内主演の恋愛モノが1位になる時期にカップルや女性客をホラー映画に呼ぶのは難しい。せめてハロウィン直前あたりの公開ならばもう少しヒットは望めたと思います」
島崎遥香はじめ、足立梨花や高田里穂ら女優陣の評判は悪くないだけに、世間の“塩対応”には関係者も無念のかぎりだろう。
(山中はじめ)