社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「二日酔い対策でのサウナは命の危険も…間違えやすいアルコールの常識教えます」

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 そろそろ年始回りも一段した今日この頃、新年会続きで、連日の二日酔いに悩まされる方も少なくないでしょう。

 では、ここで質問です。二日酔い防止法として効果があるのは、

「酒とともに水を飲む」

「飲酒後にサウナに入る」

 のどちらでしょうか?

 答えは「酒とともに水を飲む」です。いずれの方法もアルコールをたしなむ人であれば試したことがあるのではないでしょうか。しかし「飲酒後のサウナは危険」ですので、絶対に控えてください。

 そもそも二日酔いとは、「脱水症状」のことです。お酒には利尿作用があり、摂取したアルコール以上の水分が失われます。つまり脱水症状に見舞われたからこそ、頭痛や吐き気、食欲不振などの症状に襲われるわけです。

 当然ながら、脱水症状を防止するには水分を摂取するに限ります。日本酒や焼酎とともにチェイサーを頼み、適度な量で抑えると二日酔いにはなりません。酒と水を1対1で飲めば悪酔いもしないでしょう。

 また二日酔いになるほどではないものの、前日の酒が残っている場合には、水やお茶、スポーツドリンク、味噌汁などが脱水症状を和らげてくれます。

 では、汗とともにアルコールを出そうとサウナはどうでしょう? 実は体内から出てくる水滴は単なる汗で、アルコールは含まれていません。しかも、ただでさえアルコールで脱水症状に見舞われている状況でサウナに入ってしまえば、より深刻な脱水症状を招くこととなります。命の危険にもつながりかねません。飲酒後のサウナは百害あって一利なしです。

 こうしたお話をすると、よくアルコールが好きな患者さんから「二日酔いがすぐに醒める方法はありませんか?」と質問されます。しかし、医学的には短時間でアルコールを出すことなど不可能です。二日酔いの場合はこまめに水分を補給して、酔いが醒めるのを待つほかありません。

 サウナについては、「大量に汗をかいてデトックス(体内の毒物排出)できる」と信じている方もいますが、医師の立場から言わせてもらえば、健康的に悪いことずくめです。100度以上の室内で汗をかくと、高温で急激に発汗するため体に必要なミネラル分が汗とともに出ていってしまいます。急激な血圧上昇で血管が傷つき、心臓に負担がかかって突然死の危険すらあります。

 とりわけ、サウナでの我慢大会は最悪と言えます。先に入った人がいつまでも入っていると、自分があとから入ったにもかかわらず先に出るのが恥ずかしいという心理が働きがちで、サウナの中がさながら我慢大会のような場面に出くわすことがあります。そんなことで倒れるまで我慢すると脳梗塞になり、命は取り留めても後遺症が残る場合もありますから、時計など見ずに「暑い」と感じたら我慢せずにすぐに出てください。

 また、サウナを出た直後の水風呂も、年代を問わず20代の若いうちでも危険です。高齢者ほど、急激な体温変化は心臓マヒのリスクが生じる原因となります。

 サウナにはリフレッシュ効果はありますが、健康促進的な効能はあまり期待できません。どうしても運動以外で汗をかきたいならば‥‥最近流行中の岩盤浴をオススメしています。岩盤の表面の温度は40~55度とじんわりと汗をかくことができるばかりか新陳代謝が進み、血管も拡張し、凝りや疲労が回復します。「健康にいいのはサウナより岩盤浴」と覚えておいてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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