球団としては宮崎の地を突然襲った“清原ショック”の拡大をどうにかして防ぎたいようだが、現状を見るかぎり一筋縄ではいきそうもない。
一方、そんな暗いムードを何とか払拭しようと巨人側はキャンプの話題を懸命にグラウンドへ引き戻そうと試みているものの、事は思うように運んでいないようだ。頼みの綱であるはずの由伸監督への注目度がサッパリだからである。
「誰かに直接指導するとか、そういう興味を引くような動きを由伸監督はまったくしないんですよ。ただ練習をジッと見ているだけだから、どこの社の報道陣も『監督ネタがない』と嘆いています。それに練習終わりの囲み取材になって『今日は○○選手がよかったですよね?』と問いかけても『え? う~ん‥‥。そう言われれば、そういう気もしますね』とか『そうですね。何とかやってくれるんじゃないでしょうか』など、そっけない感じで、出てくるのはちっともおもしろくないコメントばかりですからね」(スポーツ紙巨人番記者)
結果、メディアが由伸監督にスポットを当てにくくなっている。原辰徳前監督(57)時代を振り返ると、カメラマンの要求に応えてポーズを取ったり、ウイットに富んで気の利いたコメントも発していたものだ。
「原さんと比較されるからよけいに由伸監督の地味っぷりが浮き彫りになってしまうんですよね。キャンプ中、由伸監督にカメラマンがポーズを要求したら『え? 何でそんなことするの?』と難色を示されたこともありました。だから多くの担当記者たちが“原ロス”に陥っています」(前出・スポーツ紙巨人番記者)
原前監督と由伸監督のキャラクターがまったく違うと言ってしまえば、それまでの話。とはいえ、取材する側にとってみれば死活問題となる。しかも、
「由伸監督にあまりにも存在感がないため、その姿をグラウンドで見失ってしまうこともザラにある」(前出・スポーツ紙巨人番記者)
というから笑えない。シーズンが始まったら、いったいどうやって由伸監督のネタを作っていけばいいのか──。各メディアの巨人担当キャップ陣たちが連日頭を抱え込んでいるのも無理はないだろう。
そんな由伸監督とは対照的に脚光を浴び続けているのが、臨時コーチを務めている松井氏だ。7日にサンマリンスタジアムで行われたファンへの挨拶では由伸監督よりも松井氏のほうが明らかに圧倒的な声援を集めていた。
ところが、そのゴジラコーチもこのキャンプではほとんど“機能”していないのが実情のようである。
「由伸監督は『せっかくの機会だから選手たちは松井さんに話を聞きに行ってほしい』と言っていたが、松井さんの実績がすごすぎて選手たちも気軽に近づくことができないんです。それで松井さんもやることがなくヒマを持て余してしまっている。毎日のように指導していることがメディアで報じられていますが、あれは大半が内田順三打撃コーチ(68)や村田真一ヘッドコーチ(52)らから『この選手を見てほしい』と積極的に頼まれて、それに応じる形でやっているんです。ゴジラ塾は、いわば『開店休業状態』といった感じになっていますね」(球団関係者)