どんな時代にも胸を熱くさせる傑作ドラマがあった。そして、夢中で観ていながら、意外に思い出せない「最終回」の展開を、ここに厳選して再生する。
「太陽にほえろ!」(72~86年、日本テレビ系)は、マカロニ(萩原健一)やジーパン(松田優作)など、若手刑事の殉職シーンがあまりにも有名。では、番組そのもののラストはどうだったのか?
86年11月14日、七曲署にボス(石原裕次郎)が4カ月ぶりに帰ってきた。
「オレはねえ、4年前にさあ、心臓を切った大手術をしたんですよ」
取調室で若い女に向かってつぶやく。当時の裕次郎は大動脈瘤の手術から奇跡の生還を果たし、役柄と自身が一体化したセリフはなお続く。
「背の高い、キザな男でスコッチ(沖雅也)ってのがいたんだよ。口の周り、真っ赤にして死んでった」
沖は実際にも自ら命を絶っている。
「部下の命は俺の命。命は大切にしないとねえ」
そして14年4カ月の放送に幕を閉じ、翌年、裕次郎も生涯を終える。自身の死期を悟った“最期のメッセージ”として伝説になった。
88年11月25日、間もなく昭和が終わろうとする頃にオンエアされたのは、長渕剛がヤクザの小川英二に扮した「とんぼ」(TBS系)のラストである。英二は5人のチンピラに背中を刺され、血だるまになりながら絶命‥‥。
視聴者の誰もがそう思ったが、実はそうではなかった。局がフジテレビに代わり、97年にオンエアされた単発ドラマ「英二ふたたび」で、8年の刑期を終えて出所する姿から始まっていたのだ。
いずれにしても、ゴールデン帯でヤクザを主役にしたドラマは、この先、二度と現れないだろう。
江口洋介を長男に、6人の兄弟の絆を描いた「ひとつ屋根の下」(93年、フジテレビ系)は、最高視聴率37.8%を記録し、フジテレビの歴代ドラマで1位に輝いている。福山雅治、いしだ壱成、山本耕史、そして酒井法子と、いろんな意味で“伝説のメンバー”がそろっていた。
93年6月30日、その最終回は長男の達也が古傷を抱えながらマラソンに挑戦。その姿に弟や妹たちは心を新たにし、襲われた小梅(大路恵美)も告訴を決意する。
感動的な大団円ではあったが、酒井の事件以降、再放送は厳しい状況にある。
最後は、木村拓哉主演の「華麗なる一族」(07年、TBS系)である。07年3月18日、30.4%を記録した最終回は、全てに絶望したキムタク演じる万俵鉄平が猟銃で自害する。
「あなたの子です、鉄平はあなたの子です!」
死後に泣き叫ぶ母・寧子(原田美枝子)。自分の父親との間にできた子と信じて疑わなかった夫・大介(北大路欣也)と、血液型が一致していたことが最後にわかる。
ちなみに北大路は、かつて映画化の際は鉄平側の役だったため、息子と敵対する大介役を固辞していた。さらに、万俵家の娘婿役で出演した田宮二郎が、このラストシーンを模倣して猟銃で自害したことも伝えられている。