政界引退を賭けた大阪都構想を実現できず、昨年末に「私人」に──。前大阪市長・橋下徹氏のことである。今春からはレギュラー番組「橋下×羽鳥の新番組」(テレビ朝日系)がスタートし、タレント活動を本格化。テレビ出演以外にも続々と活動の幅を広げているのだが‥‥。
その活動の一つが、今年2月にインターネット上にオープンした月会費1万円のオンラインサロン「橋下徹の激辛政治経済ゼミ」である。決して安くない金額にもかかわらず、このサロンにはオープン直後から会員希望者が殺到。瞬く間に月間数百万円の利益を生み出す打ち出の小槌となった。オンラインサロンとは、無料で閲覧できるツイッターなどとは異なり、「有料会員のみが参加でき、ネット上で交流できるサイト」のこと。オープン間もなく会員登録した30代男性・A氏が言う。
「橋下さんが使っている『シナプス』というオンラインサロンサービスでは、他の会員の名前も一覧表示されるのですが、オープン直後からものすごいペースで会員数が増えていきました。サロンの説明を読むと、サイトの掲示板で橋下さんとリアルタイムで議論ができる以外にも『ここでしか聞けない話』とか『橋下さんと一緒に温泉旅館に行ける』など魅力的なフレコミばかりで、『これで1万円は安すぎる』と思って、迷わず登録しました」
だが、程なくして、その期待は失望へと転じていった。A氏は肩を落としてこう続ける。
「正直、思っていたのとは全然違いましたね。月の半ばに実施されたオンライン議論では数百人の会員のアクセスが集中し、サーバーがダウンしたんですよ。僕も参加したんですが、ひと言も書き込めず、ガッカリしました」
2月分の登録費用は返金され、3月からシステムを変更して再出発となった。
「会員が一定期間、橋下さんに質問をぶつけていき、後日、橋下さんが回答する『記者会見方式』に変更された。これなら有意義なやり取りができると思いました」(前出・A氏)
だが、新たに採用されたこの方式にも「落とし穴」があったという。
「長文の質問が大量に投稿されるので、自分の質問がすっかり埋もれてしまうんです。いちおう、橋下さんから返事はもらえたんですが、たった数行だけ。参加者の中には、質問になっていない自慢話を始めたり、会社のグチをグダグダと書き連ねる人も出てくる始末。とても『記者会見』とは言えない混沌とした場でしたね」(前出・A氏)
具体的な書き込み内容を外部に漏らしてはいけない規約になっている同サロンだが、日頃の書き込みで橋下氏が提起したのは「育休問題」や「ドナルド・トランプ旋風」など、タイムリーなテーマが多かった。同じく会員登録した男性・B氏が嘆く。
「橋下さんの書き込み自体は勉強になるんですが、一部の会員による意味不明な書き込みが多すぎて、交流にならない。さすがに1万円も払うには高すぎると思いました」
また、「市長時代の報じられていないエピソードや、維新の会の内情などが聞けるのでは、と期待していたんです」と語ったB氏。だが、内情は驚くべきものだった。
「『内緒の話』として掲載されるのは『橋下さん行きつけのイタリア料理店情報』とか『美容室で髪を切る橋下さんの写真』とか、そんなのばっかりでした」
そう言ってアキレ返るB氏。当初の期待がことごとく裏切られた形となり、
「温泉旅行について行ったとしても、ろくすっぽ橋下さんと話ができないだろうと気づき、さすがに1万円も払うのがバカバカしくなって登録を解除しました」
A氏も同様に、登録して1カ月足らずで脱会した。
4月からは月額1000円のメールマガジンの配信も始めた橋下氏。政治家として豪腕を発揮してきたが、会員からの大ブーイングには真摯に耳を傾けてもらいたいものである。