レンジャーズのダルビッシュ有(29)が、劇的に復帰した。昨年3月に行った右ヒジのトミー・ジョン手術を受けてから実に658日ぶりのマウンドで、手術前よりパワーアップしたパフォーマンスを見せたのだ。だが、実はこのリハビリを巡って、とんでもない計画が進行していた──。
5月29日、本拠地でのパイレーツ戦。先発マウンドを踏んだダルビッシュの投球内容は、最速158キロをマークしたストレートに多彩な変化球を駆使して5回を毎回の7奪三振、3安打1失点。リーグトップのチーム打率を誇るパ軍を相手に、670日ぶりの勝利をつかんだ。現地メディアも「炎のストレートでド派手復活」「ハッピーエンド!」と復帰を祝福。あの毒舌のノムさんでさえ「欠点が見つからない」と大絶賛した。「復帰前よりストレートのスピードも変化球の切れも増したんじゃないか」。対戦したパ軍の選手からは、そんな声まで飛んだほどだ。
だが、この復活劇の裏で、ダルビッシュは驚くべき動きを見せていた。メジャー関係者が明かす。
「ダルビッシュは今回、投げられない1年のリハビリ期間を利用して肉体改造をしました。これがケガの功名となって大きな進化を遂げたわけですが、実は前々から『オフ期間の数カ月だけでは本格的な肉体改造はできない。これでは30歳を超えて高いレベルでプレーを続けられない。できれば長期間、トレーニングしたい』という希望を持っていた。そこで練っていたのが、『レンジャーズとの契約が切れたら1年間、どことも契約せずに肉体を改造し、日本球界でいったん復帰。その後、再びメジャーに戻る』という計画です」
ポスティング制度で11年オフに日本ハムからメジャーに渡ったダルビッシュは、レンジャーズと6年総額約66億円の巨額契約を結んだ。17年シーズンを最後に契約が切れるが、その時、31歳。ダルビッシュの考える「30歳を超えてもプレーできる肉体」に本格的に改造するためには、登板しながらでは難しい。1年間、どの球団にも所属せず、トレーニングだけを徹底して行いたい、というものだった。その「復帰の場」がメジャーリーグではない理由については、
「日本ではメジャーのように中4日登板に縛られません。肉体改造の成果を試すには、自由にできる日本の球団はもってこいの場所だと考えたのでしょう」(前出・メジャー関係者)
つまりは短期間の「腰掛け復帰」。手応えがあれば、再びメジャーへ戻って長期プレーを行うというものである。まさに常識にとらわれないダルビッシュらしい考え方だが、
「その場合の期間限定復帰先は古巣の日本ハムでもいいし、ダルビッシュほどの投球をする先発投手なら、たとえ腰掛けであっても欲しい、という球団は他にも出てくるでしょう」(スポーツライター)
だがこの計画は、右ヒジにメスを入れ、肉体改造トレーニングに集中できる1年間を手に入れたことで、いったんは白紙に戻った。前出・メジャー関係者によれば、
「このリハビリ期間に栄養学や生理学、肉体のメカニズム、サプリメント情報にいたるまで、トレーナー顔負けの知識を吸収して肉体改造に取り組んだ。1年の間に100キロだった体重も107キロにしたのですが、増やしてしぼるという作業を繰り返しながら脂肪を省き、必要な筋量だけを身につけたといいます。そのトレーニングを手伝ったのが、交際中の元レスリング世界女王、山本聖子(35)でした」
アメリカの自宅にはミニレスリング場があり、しかも聖子は、昨年まで米国のレスリングチームのコーチをしていた。器具を使ったトレーニングには補助が必要だが、聖子がその役を買って出て、肉体改造には不可欠な食事面もサポートして復活を支えたのだ。さる球界関係者は、こんな「今後の展望」を口にする。
「肉体改造に成功はしましたが、レンジャーズとの契約が切れた時点で、またどんなアイデアを持ち出すかわかりません。『新たに何かを試したいから、との理由で日本復帰をもくろむ可能性もある』と明かすメジャー関係者もいますから。まずは順調に復帰戦を飾りましたが、シーズン終了までどれだけの結果を残せるのか。トミー・ジョン手術の成功率は80%と言われますしね‥‥」
来オフまでダルビッシュの動向から目が離せない。