石原慎太郎・東京都知事の右腕として都政改革を進める猪瀬直樹副知事。石原氏がブチ上げた尖閣諸島購入計画には目下、約12億円の寄付金が集まっているというが、忍び寄る“中国の触手”からの「奪取」はいつなのか。国政も巻き込み最前線で戦う副知事が語り尽くす!
ツイッターに膨大な反響が
──石原都知事は、今年4月16日、ワシントンDCで東京都が尖閣諸島を購入する計画を発表した。サプライズでしたね。
実は、尖閣問題は、1978年から石原さんはやっているんだ。だからある意味、尖閣は生涯のテーマみたいな感じだよ。ヨットマンだし。78年には、尖閣諸島の魚釣島に石原さんら青嵐会議員が学生有志を派遣して手製の灯台を建設した。その後、右翼結社「日本青年社」が、資金を投入して立派な灯台を建設した。
今回の石原さんの発表直後、ここ(副知事室)にNHKの記者がコメントを求めてやってきた。僕は、あまりしゃべらないほうがいいなと思っていたけど、一つ言った。
「税金で購入するとしても、皆さんの寄付が集まれば、税金の支出が減りますね」
すると、まずネットで寄付の話がバーッと広がっていった。
──寄付の話は、そこから広がったの?
うん。それで12億円ですよ。
──寄付をする人たちは、どういう人たちが多いんですか?
静かな情熱でネットの中で広がってきた。「私、貧乏だけど、1万円」とか言ってくる。「私、年金生活ですけど」とかね。単純に8万件で12億円だから、1人1万5000円だけど、1万円の人がほとんど。そこに5万、10万、30万円の人がいる。僕のツイッターのトッゲッター(まとめブログ)にも尖閣に関する感想がバーッと。僕が寄付を口にしてから2、3日目に刷り出したら、紙にして10枚20枚、何百人と来た。で、すぐ石原知事に見せて「こんなに反応があるよ」と。マスコミで話題になる前だった。今後、まだまだ来ますよ。若い人たちに広がっている。
──予想を超えた反響だ。
予想より多いね。で、なぜかと考えると東日本大震災で、フツフツと静かな情熱が国土認識として広がった。僕は戦後民主主義社会は震災で歴史区分を作るべきだと思っていて、そこからは戦後ではなく「災後」社会だと。それぞれ国民が責任を持って国土の認識をもう1回持ち直すというね。
若い人たちは、戦後民主主義の中でそういう歴史からいったん切れていた。だから、新しくそういう認識を持ち始めたというのは大切なことじゃないの。
──ところで、尖閣の所有者は国に売るのは嫌なの?
国と言ったって当事者能力がない。国だとしたら、誰が当事者になるの? 役人ですか? 彼らでは、決済能力とか交渉の責任を取れないでしょ。ところが、東京は知事が責任を取れる。議会に諮らないといけないわけだけど、これだけ寄付金が集まってくれば購入金額に寄付金のほうが接近し、うまくいけば寄付金の額で買える。そしたら議会からも文句は出ないでしょ。だから今はうまくいっている。