今週は「毎日王冠」が東京で行われる。過去5年、1番人気馬が3勝しているものの2、3番人気馬は2着が1回のみ。紐荒れ傾向の重賞だ。一方、京都の「京都大賞典」は、キタサンブラックとラブリーデイが人気の中心。
中央場所は東京、京都に開催が移って本格的な秋競馬に突入だ。GIの狭間になる、その開幕週のメインは、天皇賞の前哨戦、毎日王冠(東京)と京都大賞典(京都)。
特に毎日王冠は毎年GI並みの顔ぶれで、見応え満点の激しい競馬を繰り広げてきた。今回もロンギングダンサー以外は、いずれも重賞勝ち馬で、GI馬も2頭出走してくる。まさにファン必見のレースと言っていい。
そのGI馬の1頭リアルスティールは、ドバイ遠征の疲れが抜け切れていなかったのか、前走の安田記念は2番人気で11着と予想外の敗北を喫した。それだけに今回は捲土重来とばかり、きっちりと立て直して臨んでくる。中間の稽古内容は実によく、本番の天皇賞・秋を見据えて下手な競馬はできまい。
その安田記念を逃げ切ったロゴタイプも順調に夏を乗り切った。「8分以上の仕上がり。格好はつく」と田中剛調教師の口調も弾む。
最有力候補と見る向きも多い紅一点、ルージュバックも4カ月ぶりの実戦とは思えぬ好仕上がりを見せている。
他のメンバーも力差はそうなく、いずれもきっちりと臨戦態勢を整えている。ならば馬券的にも実におもしろい重賞と言っていい。
ただ、「ここを勝って盾もいただき」という馬は案外に少なく(近年ではダイワメジャーとカンパニーぐらい)、能力が高い実力派だからといって全幅の信頼を寄せていいとは限らない。
では、データをひもといてみよう。馬単導入後の過去14年間、その馬単で万馬券が飛び出たのは6回(馬連は3回)。この間、1番人気馬は4勝(2着2回)。2番人気馬は2勝(2着2回)。こうして見ていくと意外に人気サイドで決まりにくいことがわかる。簡単に言うと人気どころのいずれかを主力に、人気薄へ手広く流すというのが馬券の筋と言えそうだ。
年齢的には上昇著しい4歳、充実ぶりを見せる5歳がやはり優勢で、3歳馬の善戦ぶりも目立つ(今回は3歳馬の参戦はない)。
であれば、リアルスティール、ルージュバック、そして巻き返しを図るアンビシャスの生きのいい4歳馬に目がいってしまいがちだが、7、8歳馬もよく頑張っている。穴党としては、その古豪に目をつけてみた。狙ってみたいのは、7歳馬のディサイファだ。
とにかく仕上がり状態のよさが目を引く。安田記念(6着)以来、4カ月ぶりの実戦になるが、札幌記念(8月21日)で復帰するプランもあっただけに乗り込み量は豊富。臨戦態勢はきっちりと整えられている。
1週前の追い切りでは、馬場状態の悪い坂路で54秒0、上がり38秒9-12秒5(ゴール前仕掛け)。単走では、しまい13秒を切ることが少ない馬が、あっさりと好時計をはじき出したのだ。
「札幌記念を使わず、ここに照準を合わせたのが正解。走りづらいWコースでこの時計。1週前の稽古としては言うことなし。衰えもないですし、この分なら‥‥」
手綱を取った小島良調教助手がこう言って相好を崩したほど。仕上がりがよければ、元来、鉄砲駆けが利き、東京コースを得意としている馬。しかも1800メートルの距離もベスト。期待しないわけにはいかない。
近親、一族にグラスワンダー(有馬記念連覇などGI4勝)、デヴィルズバッグ(米2歳牡馬王者)、名牝グローリアスソング(カナダ年度代表馬)など活躍馬が多数いる良血。道悪も上手で、チャンス十分と見た。