ところで、今回の野球賭博事件がなかなか収束せずに一大騒動となっているのは、巨人という影響力のある球団が震源地だったという側面もあろうが、それより当局が時節に合わせて暴力団の一掃に躍起になっていることが大きいようだ。
笠原被告らが逮捕されたGWの最中から、携帯電話の発着信履歴、斉藤被告の銀行通帳への出入金記録をもとに胴元や賭博関係者と思われる人物が任意同行を求められてきた。
動いていたのは、主に暴力団の犯罪を捜査する警視庁組織犯罪対策4課。結果、三宅容疑者の逮捕にも至っている。
「ハンデ師はもちろん、集客や集金を考えたら、野球賭博なんてヤクザがいなきゃ成立しないだろ? 昔は9~10割の胴元が本職も含めた反社会的勢力だった。でも最近は暴対法の影響で、5~6年前からかな、3割はカタギ。個人事業主が一種の事業として手を出している。実は三宅が金を流していた『大胴元』も、都内資産家の息子だってな。別の大胴元は、斉藤の借金回収のために店まで取り上げた元ヤクザだったけど、表向きはもう辞めてるよ。組対4課の狙いはあくまで暴力団。こうした場合、証拠をつかむため、野球賭博に関わったカタギに口を割らせるんだ。カタギの口は止められないからな」(X氏)
三宅容疑者の逮捕のきっかけも、野球賭博に関わった複数の客の証言が決め手になったようだ。
そして、当局の狙いは別ルートの解明にもあるというのだが、これがまた巨人に嵐を巻き起こす可能性が出てきた。
捜査に協力した、野球賭博者たちを知る飲食店関係者が明かす。
「警察に呼ばれたのは、不動産関係を中心に、お金を持ってる自営業者たちなんですけど、自分たちも捕まらないかと不安になっていた。ところが、半ば“情報を提供すれば罪にしないから”といった様子で、巨人の中心野手の名前をあげて、しきりに『巨人のBやCはどこを胴元にしてたかわかるか?』というようなことを聞かれたそうです」
BやCの名前に、X氏も反応する。
「確かに、Bは野手の中では中心になって野球賭博に入れ込んでたって聞くな。でも、ルートが斉藤や三宅とは違ったみたいだな。三宅を逮捕したら、笠原、斉藤のラインはもうカタギが多くて、別ルートから切り込みたいんだろう」
B、Cといえば、名の知れたスター選手。「紳士たれ」がモットーの球団で看板選手がまさかとは思うが、球界でも噂は尽きない。
セ・リーグ関係者が話す。
「BとCには共通のタニマチとなっていた社長がいた。古くから野球選手を連れ歩いていましたが、黒い噂が絶えなくて、数年前から巨人も出入り禁止になったと言われる人物です。というのも、斉藤のように選手たちに野球賭博を仲介していたとされ、Cはそのおかげで片手では足りない胴元とつきあっているとまで‥‥」
V逸した裏で、きな臭い噂が絶えない巨人軍。何とか2位は死守し、CSファーストステージのホーム開催だけは確保したが、シーズン終盤はDeNAから猛追されてフラフラだった。
巨人番記者が言う。
「7月に選手と暴力団との交際がしきりに報道された頃から、チーム内がピリピリしてきましたね。一部フロントからは、積極的に報道する一部メディアに対して『DeNAから金もらってるんじゃないか』と八つ当たりする声まで出ていた。危機的状況になると必ず決起集会が開かれるものなんですが、今年は1度もなかったんですよ。音頭を取らなければいけないはずの選手が野球賭博に手を出してるから後ろ暗いのでは、なんて憶測まで飛び交って‥‥」
伝統ある球団はどう巻き返すのか。いずれにせよ、連綿と続く悪しき伝統があるのならば、早く断ち切ってほしいものだ。