昨年9月20日未明、東京・八王子市内のホテルで、泥酔した未成年の教え子の女性部員に乱暴し、12月に準強姦罪で起訴された内柴正人被告(34)。公判を前に、過去の封印された“毒牙”ぶりも伝わってきた。
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04年アテネ、08年北京と、内柴被告は男子柔道66キロ級で五輪連覇の偉業を成し遂げている。だが、2度の保釈請求は却下され続けた。社会部記者が話す。
「昨年の起訴直後に続き、3月末の保釈請求も、東京地裁から認められぬまま、7月17日に公判前整理手続きが行われる予定で、いまだに公判開始日は未定です。そのためロンドン五輪を控えて、内柴被告の近況は伝わってきませんね」
ロンドン五輪は、日本にとって初参加から100周年の記念大会。第5回ストックホルム五輪で団長を務めたのが、柔道の父と呼ばれる嘉納治五郎だった。
「それも考慮され、今大会は全柔連の上村春樹会長が団長に決まったんです。しかし、その直後に同郷・熊本出身である内柴の不祥事が発覚してしまった」(スポーツ紙デスク)
まさに柔道界にとっては、顔にドロを塗られたようなものだった。全柔連関係者が話す。
「逮捕を聞いた時、『やっぱりか』という思いでした。11年に九州看護福祉大から三顧の礼で客員教授として迎えられ、女子柔道部のコーチを務めていましたが、すぐに“不適切”な指導ぶりは噂で聞こえてきました。そばに(国士舘大の)OBらがいれば、もっと厳しく注意を促せたんでしょうが‥‥。彼は選手時代から酒が入ると女にだらしなかったですからね」
先輩が酒席にいる時は一升飲んでも乱れることのない酒豪の内柴被告も、後輩や友人の前では、自慢の筋肉美を披露し、女性がいればやたらと口説くタイプだったという。前出の全柔連関係者が続ける。
「実は、04年のアテネ五輪前に、それまで行われていた男女合同のナショナル合宿から男女別の合宿に変更されたんですが、そのきっかけの一つとも言われているのが、内柴のセックス強要疑惑でした。若手女子選手が泣きながら先輩女子選手に相談し、内柴本人に抗議したことがあった。その時も彼は今回同様に『納得できない。介抱するつもりで、行為も合意のうえだった』と主張していたそうです。結局、酒席後の出来事でもあり、うやむやになったと聞いています。03年にはすでに結婚もしていたのに‥‥」
今回の事件でも、内柴被告からのセクハラやパワハラ被害者が複数だったことが大学側の報告で明らかになっている。
だが、内柴被告は当初から安易に考えていた節があるという。
「事件現場には警視庁所属の柔道家も参加していて、内柴被告は“もみ消し”を期待していたといいます。でも、その彼も解雇されてしまったようです。未成年者への犯行だけに、裁判の結果を問わず、柔道界への復帰は厳しいでしょう」(前出・社会部記者)
金メダルの価値すら失墜させた愚行は、柔道界の話のみならず厳重に処罰されるべきである。