「画面に映さない」のが常識
しかし、この記事を最後まで読めば、河本にもたけしの真意は伝わるはずだった。記事中、たけしは河本を追及した参議院議員の片山さつき氏(53)を批判。〈芸人は謝るしかないもの〉と河本を擁護している。
さらに、〈本人がもらってたわけじゃなくて、売れる前に母親がもらってたのを『まあいいか』って放置したのが問題なわけで〉と、河本をかばっていたのだ。
あの騒動以降、河本の話題は生活保護一色。母親が受給した保護費の一部を返納しただの、オカンネタが多かった「人志松本のすべらない話」から降板しただの、まさに「ミスター生活保護」といった状態になったのである。
つまり、今回のたけしのオファーは河本にとっては助け舟だったことになる。
「実際に、番組には吉本の後輩芸人であるパンク・ブーブーが出演して、暗い雰囲気をぶっ飛ばすような貧乏ネタをあえて選んだ。たけしさんも『アブねえなあ』と大絶賛していて、本当は河本さんに収録現場にいてほしかったと思います」
芸能評論家の三杉武氏はこう話す。
「その出演オファーは『芸人ならスキャンダルも笑いにしてしまえ』という、たけし流のメッセージだったと思います。そんな大御所からのありがたい話を断ってしまうなんて、芸人失格でしょう。今後は、おまえが出る番組は『ねぇ!』なんていうことになりかねません」
そんな末期的状況を迎えつつある河本に、周囲はたけしほど優しくはない。
ある民放局局員が言う。
「正直、河本本人がリカバリーできる問題ではありません。それだけに、周囲がイジって生活保護問題も笑いに変えなくてはいけないのに、河本がすっかり意気消沈してしまっていて、共演した芸人も『かわいそうで、ツッコミも入れられない』とボヤいていました。ウチの局でも、『河本をワイプに入れるな』が常識になっているほどです」
テレビ画面の小さな小窓にも出られない状態は、リアクションで本領を発揮する「ひな壇芸人」には致命的である。
前出・吉本関係者はこう話す。
「河本は後輩芸人やスタッフを引き連れて、飲み歩くなど豪快な私生活をよく話していましたが、仲間が河本のもとに集うのは、細かい気配りができる彼の人柄に引かれてのことなのです。それだけ、河本は周囲の雰囲気を敏感に察知する人間。周囲の腫れ物に触るかのような反応に、河本はより元気がなくなっている状態で、現在のところ出口ナシという状況です」
最大の長所が短所となっているとは‥‥。本当にちっとも笑えない“断末魔”が聞こえてきそうではないか。