1963年に153人だったわが国の100歳人口が今年は6万人を超えた。長寿で健康の秘訣を100歳超えの生活に見た!
世界保健機関(WHO)が発表した2016年版の「世界保健統計」によると、日本人の平均寿命は女性が86.8歳、男性が80.5歳で世界1位と6位だが健康寿命は10歳ほど短く、その差がいわゆる“寝たきり期間”。日本はこの期間の長さのワーストワンだった。このままのペースで行けば2050年にはわが国の100歳人口は68万人を超えるだろうと予測されている。つまりこのままだと寝たきり人口も期間も延びることになる。理由は様々言われているが、その予防策に、ここは元気な長寿者を見倣ってみよう。
水泳のマスターズ大会で世界記録を次々に更新している長岡三重子さんは102歳。しかし彼女が水泳をはじめたのは80代になってから。動機は痛めた膝のリハビリのためだったが、独学で水泳をマスターした。
「最初は3メートルも泳げなかった。25メートルを泳げるようになるまで1年かかった」
女子陸上で世界トップクラスのスピードで走る守田満さん(93)が走ることを始めたのは69歳だった。外国人になるが陸上で数々の世界記録を持つイギリス人、チャールズ・ユーグスターさん(96)が走りはじめたのはなんと90歳。共通しているのは自分の歳を意識せず“よし、やってやろう”という気持ちだという。
水泳、陸上に限らず、高齢者が始められるスポーツは弓道、テニス、合気道など数多い。イギリスの医学誌「英国スポーツ医学ジャーナル」に掲載された論文にもこうある。
「運動を習慣として行い、4年以上続けている人は、まったく運動していない人に比べ、健康的に加齢していく可能性が7倍に増加する」
さらにこうもつけ加えている。
「運動を続けて良い体調を維持することで、心疾患や脳卒中、糖尿病などがもたらす障害の危険性を下げることができるだけでなく、うつや認知症の発症リスクも下げることができる」
つまり、健康寿命が平均寿命に近づけるという。そして同誌はこう結ぶ。
「60歳になるまで運動をする習慣を持たなかった人でも運動を始めるのが遅すぎるということはない」
確かに毎日確実に身体は劣化していく。今日より若い日は来ないのだ。嫌でも長生きしなくてはならない時代がきている。健康寿命が延びて嫌な人はいないだろう。思い立ったら即実行だ。
(谷川渓)