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還暦の時に入院を経験してからは、いくつかの健康法を試みるようになったという。
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近所のジムで水泳をやったこともあります。ところが、通っているうちに、プールに来ている人と親しくなり、話しかけられるようになった。ある時、その中の一人に「息子が勤めている富士銀行が合併してみずほ銀行になるようだけれど、大丈夫だろうか」と相談され、水着姿で40分ほど相談に乗っていたら、カゼをひいてしまった。そんなこともあって、プール通いは結局、3カ月でやめてしまいました。
次に始めたのが階段上り。毎朝、住んでいるマンションの1階から5階まで階段を上るんです。その後、階段上りに加えて、散歩も始めましたが、2013年に脱腸になってからは、散歩だけにしています。階段を上ると腸に力が入り、脱腸の具合が悪くなると感じたからです。今も、朝食後に20分ほど散歩するのが、ここ10年来の日課になっています。
散歩以外にも、脱腸の診察・治療で知り合った医師のアドバイスを受けてやっている健康法がいくつかあります。その一つが、大さじ1杯のオリーブオイルを毎朝飲むこと。ついでに、娘の勧めで亜麻仁油も飲んでいます。実際に効果があるのかはわかりませんが、娘が「飲め」と言うので、逆らわずに飲んでいます。
2つ目は、かかと上げ。足の神経を活性化させるには、散歩だけでは少々足りないということなので、散歩に行く前、壁に手をついて1日に30回ほど、かかとを上げる運動をしています。
3つ目がぬる湯での入浴。もともと、入浴時間はそんなに長いほうではないのですが、必ず湯船につかることにしています。風呂用の温度計を買って、湯温を39度前後にするように気をつけています。
ついでに、湯船につかっている間、足の指の間に手の指を入れて揉むようにしています。これは、東洋医学の治療院でいつもやってもらっている施術なのですが、とても気持ちいいので気に入ってます。
83歳の今でも気力は30代だと思っていますが、年を取ると時々体が反乱を起こします。そうなったらもう頑張りません。すぐに病院に行って診察してもらい、必要であれば、そのまま入院します。最近では「医者にかからない」とか「医者に殺されない」という主張の本が評判になっていますが、僕はまったく逆で、体が反乱を起こしたら逆らわないのが最上と考えています。
だから、自分で解決しようなどとは思いません。日頃世話になっている主治医に助言を仰いで、それを実践するようにしています。「老いては子に従え」という格言がありますが、80歳を超えて娘の言うことを素直に聞くようにもなりました。3年前にも、娘のアドバイスをおとなしく聞いて5日間の入院をしました。手術や治療といった目的があったわけではなく、体調を整えるためでした。
いちばん身近にいて、いろいろサポートしてくれる家族の意見は素直に聞くべきであり、聞いたほうが健康にもいいはずです。
田原総一朗:1934年、滋賀県生まれ。64年、東京12チャンネル(現・テレビ東京)に入社。数々のドキュメンタリーを手がけたあと、独立。ジャーナリストとして執筆するほか、番組制作も数多く手がける。「サンデープロジェクト」では討論を担当し、放送1000回を超える長寿番組に。87年にスタートした「朝まで生テレビ!」も30周年を迎えて、今も放送中。