清原和博(49)にクスリを譲渡した罪で今年7月に有罪判決を受けた男が告白本を上梓した。かつての球界のスーパースターはなぜクスリに手を出したのか──。話題の書と証言をもとに、壮絶アブリ秘話を明かす。
新刊のタイトルは「密売」(ミリオン出版)。著者の小林和之氏(45)は、清原にクスリを流し続けたことで「密売人」と報道されたが、当人はこう断言する。
「清原さんに覚醒剤を渡したことで、利益を得たことは一度もありません。東京に持って行った時の交通費は自腹なので、むしろ赤字でした」(以下、小林氏)
小林氏と清原は、単なる売人=常習者という関係では説明しきれない。2人の強い結び付きを示す、清原から小林氏に宛てた1通の未公開メールを紹介しよう。
〈小林さんの男気、しっかりと心に響き頂きました。嬉しかったです。でも、絶対に何が何でもしゃばに居て下さい〉
この「男気メール」が送られた経緯について、小林氏が述懐する。
「清原さんに私を紹介した元会社経営者のDという人物がいたのですが、彼が清原さんからの借金を全然返そうとしなかった。清原さんの手を煩わせたくなかったので、『俺が行ってボコってやりますよ』みたいなメールを送ったら、この文章が返ってきたんです。感動しましたね。『しゃばに居て』という言葉が、自分をギリギリのところで思いとどまらせてくれたんです」
小林氏と清原との出会いは14年8月。紹介者のDを交えて都内のホテルで落ち合い、小林氏が用意した覚醒剤を3人であぶった。
〈憧れの清原さんとの出会いの場所にシャブがあるのが、俺はたまらなく悲しかった〉
小林氏は当時の心境を著書にこう記している。だが、そんな思いとは裏腹に、何度もシャブを調達することになる。
「2人で会うようになってからは1回で1グラムくらい渡していました。17カ月の間に10回程度会っているので、計10グラムくらいだと思います。“仕入れ値”でDに流していた時期もありましたが、清原さんに渡っていたのはカスみたいなものだったそうです」
シャブの譲渡は小林氏が住んでいた群馬でも行われた。清原は入手したブツを現地のラブホテルに持ち込んでいた。
「清原さんが群馬のラブホテルで覚醒剤をやる時は、1日目に吸って、2日目は吸わずにずっと寝ていて、3日目に体調を戻して帰ることが多かった。1回で渡したのは1グラム程度ですが、余った分は東京には持って帰らずにトイレに捨てていたので、実際は1グラムもやっていなかったと思います」
小林氏が後片づけに出向くと、そこにエロ本が放置されていたこともあったという。それでも清原への思いは揺るがなかった。
「PLで4番を打っていた頃から憧れの存在でした。まさに男がほれる男、というか。それは覚醒剤をやっている悪い面を見ても、変わりませんでした。そんな人と同じ空間にいて、同じ空気を吸っているというのは、何とも言えない感覚でした。あの夢のような日々は忘れられません」
今年2月に逮捕された小林氏には、執行猶予付きの判決が下された。現在、群馬県内の飲食店で働く小林氏は、本書で清原との決別を宣言している。〈もう会わないほうがいい〉と──。その理由を聞くと、
「清原さんに迷惑がかかるからです。もし一緒にいるところを撮られたら、マスコミにおもしろおかしく書かれるでしょう。またやってるだろう、と。私は清原さんに頼まれてシャブを渡しましたが、清原さんは何度も私を守ってくれた。仕事で悩んで相談すると親身になって話を聞いてくれました。そんな人を逮捕させてしまったことに対して、今は申し訳ない気持ちでいっぱいです」