「八角理事長体制」が発足して半年余り。その足元は盤石になった感があるが、今、ジワジワと忍び寄る一大勢力の存在が注目されている。先の理事長選で敗北したはずの「あの男」が再び土俵外での「隠密工作活動」を開始しているのだ。
〈おはようございます! 今日は徳島県徳島市です! 土俵が会場の中央ではなく右寄りにあり、椅子席の多い珍しい巡業場所〉
これは10月23日の、九重親方(40)=元大関千代大海=のツイッターの書き出しである。秋の地方巡業の様子を報告したものだが、やがて目を疑うツイートが飛び込んできた。
〈貴乃花巡業部長と日光浴!笑 快晴の徳島場所〉
そしてその下には、港でニッコリと笑いながらたたずむツーショット写真が添えられていたのである。これはいったいどういうことなのか──。
これまで九重親方と貴乃花親方(44)は「犬猿の仲」とされてきた。そもそもの発端は、今年7月に急逝した先代九重親方(元横綱千代の富士)が現役時代の因縁などを巡って貴乃花親方を目の敵にし、口もきかない間柄だったことにある。
「その弟子である現九重親方は現役時代、たびたび『無気力相撲』が指摘され、ガチンコの代名詞だった貴乃花親方とは相いれなかった。それなのに‥‥」(ベテランの相撲記者)
今年3月の理事長選(任期2年)で、八角理事長(53)=元横綱北勝海=との一騎打ちで土をつけられた貴乃花親方は当初、「向こう10年は様子見をする」と発言し、理事長争いからは一時撤退する意向を示していた。だが、どうやら今、それを撤回し、次の理事長選でのうっちゃり勝利に向けて、早くも行動を開始したのだ。それが九重親方との、まさかの「合体」なのである。元力士が言う。
「もともと先代九重親方も反八角でしたが、打倒八角理事長で利害関係が一致したということですよ。九重親方は自分の師匠が(貴乃花親方を)嫌いだったからあえて接点を持たなかったんですが、その師匠が亡くなった今となっては、こだわる必要がない。徳島巡業では、2人で個人的に話し込んでいたみたいです。巡業は巡業部長と副部長、そして審判部から3人くらいしか参加しないため、取組が終わると控え室で仲よくなることが少なくない。九重親方の世代はほとんどが貴乃花ファン。貴乃花親方のオーラに取り込まれたというところでしょう」
宿敵をまんまと取り込む変心ぶりを見せた貴乃花親方だが、スポーツ紙記者によれば、最近の変わりようには驚くばかりだという。
「だいたい、身に着けているものがふるっている。半纏、袴はいいとしても、マフラー、ベレー帽、サングラスのいでたちを見たらびっくりしますよ。おまけに、親方は亡くなった先代のように、大変なヘビースモーカーになりましてね。歯の裏が真っ黒ですもん」