韓国在住のジャーナリストはこう話す。
「朴氏が初出馬した98年の補欠選挙の頃から『秘書室長』に就き、政治活動を仕切っていました。周囲から『不貞疑惑』がささやかれ始め、独身の朴氏との熱愛報道が過熱することを恐れて、04年に秘書室長を辞任。ただ、その後も相談に乗っていました」
2人の親密な関係は、セウォル号の事故によって発覚する。だが、話にはまだ続きがあるという。
「崔氏と鄭氏夫妻は一昨年5月に離婚。朴氏との『密会不倫』が原因と思われていましたが、実は、“相手”が違いました。韓国政府関係者の間では、朴氏が鄭氏とつきあったあと、崔氏ともレズビアンの関係だったと見ています。それに気づいた鄭氏が離婚を切り出したのが真相です。崔氏が青瓦台に顔パスで自由に出入りし、宿泊している証言も出てきた。仲むつまじい様子が目撃されるなど、政府関係者は“証拠”をつかんでいるそうです」(前出・韓国在住ジャーナリスト)
機密漏洩問題が思わぬ波紋を広げる中、1年4カ月の任期を残した朴政権はレームダック(死に体)状態に陥っている。国政の建て直しをはかるため、新首相に左派・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で政策室長を務めた金秉準(キム・ビョンジュン)氏(62)を指名。野党の取り込みが狙いだが、政権側の一方的な首相指名に野党は反発している。
「韓国の政局は不安定になっています。与党のセヌリ党でも朴派と李明博(イ・ミョンバク)派に割れていますが、李明博派が一気に巻き返してきた。野党の叩き合いも激しくなり、それぞれの党がこのスキャンダルを利用して、次の大統領選で有利に持っていこうとしています。朴大統領は完全に蚊帳の外に置かれてしまった」(近藤氏)
その野党は、慰安婦問題解決の日韓合意に反対している。この先、朴政権が野党の主張を受け入れれば、日本に影響が出るのは間違いない。国際政治学者の藤井厳喜氏はこう懸念する。
「慰安婦問題は昨年12月に日韓合意して、韓国政府が設立した財団に10億円を拠出しています。それでも朴大統領が政権から退けば、再び問題を蒸し返してくるのが韓国のやり方。事実、韓国内の慰安婦像は撤去されるどころか、今年になっても増え続けているのです」
年内には日中韓首脳会談が予定されているが、今後の外交日程は不透明になってしまった。
「大統領を辞任して“普通の人”になったとたん、刑事訴追される可能性が高いため、朴大統領としては退陣は避けたいところ。それでも決断の時間は残されていません。韓国経済は苦境の最中で、サムスン電子は新型スマホの発火問題を抱え、海運大手の韓進海運は経営破綻。政治も経済もガタガタの状況が続けば、韓国という国は消滅危機を迎えます」(前出・藤井氏)
11月4日、朴大統領は青瓦台から国民に向けて、
「必要なら私も検察の調査に誠実に臨む覚悟だ」
と談話を発表。あらためて謝罪。会見の場を立ち去る足取りは重く、大統領の窮地を物語っていた──。