さる中堅の親方が明かす。
「八角親方も含め、親方衆のほとんどは協会を私物化しようとするK氏をよく思っていない。北の湖理事長の側近だから面と向かって批判はしないが、もし八角親方が理事長になったら、追放されるのではないか」
そんな「危険」を察知したのか、K氏は今、貴乃花親方に接近中だというのだ。この親方が続ける。
「これは『八角外し』だな。八角親方を飛ばして貴乃花理事長誕生が実現するよう画策しているらしい。まぁ、貴乃花親方がK氏をどう評価しているかはっきりしないが、北の湖さんは八角親方を理事長として指名したのに対抗馬にスリ寄るなんて、裏切りだよな」
そして協会関係者は、さらなる「造反者」の存在について、こう話す。
「貴乃花親方の影響力はジワジワ広がり、保守本流とも言うべき出羽海一門にも及んでいます。師匠がいなければ部屋は存続できないため、緊急措置として、北の湖理事長が育てた部屋付きの山響親方(元前頭・巌雄)が北の湖部屋の師匠代行を務めた。ところが、その山響親方も隠れ貴乃花親方派でしてね。選挙の際は貴乃花親方に1票を投じるはずです。出羽海一門の玉ノ井親方(元大関・栃東)も貴乃花親方と懇意。出羽海一門は足元から崩れつつあるんです」
最側近と弟子が「遺言」を裏切る非情な暗躍。そこに別の勢力も加わった。
以前、週刊アサヒ芸能で既報どおり、貴乃花親方は日本国籍を取得していない横綱・白鵬(30)の一代年寄に好意的な考えを持っているとされる。そのため、貴乃花親方派の白鵬が、モンゴル人横綱3人と大島親方(41)=元関脇・旭天鵬=の票を取りまとめたとうのだが、
「北の湖理事長は『一代年寄は日本人じゃないとダメだ』とも言い残しており、それを簡単にひっくり返すわけにもいかない。ここはワンポイントで八角親方が理事長になってもらい、その次を貴乃花親方がやる、という選択肢も出ている」(前出・中堅親方)
さらに、八角親方にはこんな「刺客」も近づいている。
「前回の理事選前、K氏が進めるパチンコビジネスの契約に際して、メーカー関係者からの裏金授受疑惑が浮上し、あろうことか、その“証拠”が動画サイトに流出してしまった。この一件を九重親方が問題にしたことで落選し、委員に降格させられたんです。北の湖理事長に煮え湯を飲まされた九重親方は、八角親方だけは絶対に理事はもちろん、理事長にもさせないと、水面下で“実弾攻撃”を仕掛けて票を買いあさっていると聞きます。ただ、親方衆は皆、九重親方の傲岸不遜な人柄を知っているので、裏工作が奏功するかどうかはわかりません」(ベテラン相撲記者)
この奇襲攻撃に対し、八角親方もむざむざと土俵を割るわけにはいかない。
「八角親方は尾車親方と親しく、前回の選挙では二所ノ関一門から2、3票回してもらい、九重親方を押さえた。今回もそうなるでしょう。八角親方が理事長になった暁には、尾車親方をNO2の事業部長に昇進させるという話もできているようです」(前出・ベテラン相撲記者)
本場所より激しいぶつかり合いが繰り広げられる「裏取組」。はたして、どんな決着を見るのか──。