11月21日放送の「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)でマツコ・デラックスが「申年は荒れると言うわよね。しかも今年は60年に一度の大荒れの年なんでしょ」と、残り1カ月となった今年を評した。今年の干支は“丙申”。芸能界を振り返れば、SMAP解散報道に始まり相次ぐ不貞騒動など、これまで盤石と思われた人気スターたちが軒並みスキャンダルに見舞われた年になった。面白いことに、60年前の芸能界にも“大荒れ”の出来事があったという。
1956年は、映画「太陽の季節」にチョイ役で出演した故・石原裕次郎が、石原慎太郎の短編小説を映画化した同年の「狂った果実」で日活から本格的に俳優デビューし、故・高倉健が「電光空手打ち」で東映から映画デビューを果たした年だ。
「ここから石原裕次郎と高倉健は、市川雷蔵、勝新太郎、萬屋錦之介とともに戦後を代表するスターになっていきます。言わば56年は、戦前からの大スターと戦後のスターが世代交代し、映画界の分岐点となった年だったのです」(映画ライター)
また、テレビの世界でも続々とニュースターや人気番組が誕生した。NHKで55年秋からラジオ放送を開始した公開番組「お笑い三人組」は翌56年にテレビ化され、お笑いバラエティ番組として初の大ヒット作になった。さらにドラマでは現在まで続くTBS系の「日曜劇場」がスタートし、後に“ドラマのTBS”と呼ばれる礎を築いた。
「寄席や舞台でパッとしなかった数々の芸人が『お笑い三人組』で人気を獲得していきました。声帯模写の3代目江戸家猫八、落語家の三遊亭小金馬、講談師の一龍齋貞鳳の三人組はその筆頭で、“生もの”だったお笑いが映像メディア向けの庶民的な笑いへと変化したのです。お笑いとドラマというテレビを支える2大ジャンルの隆盛は、ここから始まったと言えるでしょう」(テレビ誌ライター)
60年前に新時代を牽引するスターや番組が誕生したことを考えると、今年のような大荒れの年にブレイクした人にこそ、次代を担う逸材が潜んでいるのかもしれない。