若者が恋愛しない理由の一つは「AKB48の握手会」だった?
そんな珍説が11月24日放送の「クローズアップ現代+」(NHK)で紹介され、ファンの怒りを買っている。同番組では“婚活”の名付け親で知られる社会学者の山田昌弘・中央大学教授が、現代の若者が恋愛を避けている理由を解説。そこで登場したパネルに、恋愛にブレーキを掛ける要因として握手会が載っていたのである。アイドル誌のライターが憤慨しながら話す。
「そもそも芸能人を疑似恋愛の対象にするのは昭和の時代から当たり前の行為であり、現代に限った話ではありません。それにアイドルのファンは生身の女性を興味の対象にしている時点で、恋愛に興味がない層とは決定的に異なります。カップルや家族連れで握手会に参加する人も珍しくないですし、女オタクを巡って男性ファン同士が揉める痴話ゲンカも日常茶飯事。そういう実情を知らないでアイドルを語るのは実に迷惑ですね」
番組では山田教授が「恋愛が憧れからコストとかリスクになる時代になってきました」としたり顔で解説。しかしコストが理由で恋愛を避けるのであれば、握手会に10万円超をつぎ込むファンの存在は明らかな矛盾となるはずだ。その点について前出のアイドル誌ライターが解説する。
「山田教授の著書によると、恋愛を面倒くさいと考える若者たちは、1000円出すだけで握手できるAKB48を選ぶとのこと。しかし現実の握手会は待ち時間が異様に長く、数々の規制やルールに縛られるなど相当な忍耐を強いられるため、絶対に握手するという強烈な意思が必要です。ただ山田教授にとってそんな現実はどうでもよく、現代の若者をステレオタイプにハメるための題材として、握手会が格好のネタなのかもしれません」
社会学では自分の目で現場を見て回る「フィールドワーク」が必須のはず。ぜひ山田教授も一度、AKB48握手会の列に並んで、ファンが発する熱気を実感してみるべきではないだろうか。
(金田麻有)