社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「健康を左右する油の正しいとり方。亜麻仁油はコレステロールを下げる」

20170119s

 あけましておめでとうございます。このお正月、食べすぎ・飲みすぎた方も少なくないでしょう。

 いつも申しておりますが、食べすぎた翌日はカロリーを控えめに、飲みすぎた翌日は禁酒をすれば「合わせてチャラ」になります。

 今年も楽しいメンバーと楽しく食事をして、翌日にカロリーを下げ、心身とも健康に過ごしていきましょう。

 さて、正月に食べるおせち料理は黒豆、カズノコ、ごまめ、栗きんとん、伊達巻、かまぼこなどが入っています。これらは油分も少なく健康的ですが、毎日のように食べると飽きがきて、油料理が食べたくなるでしょう。そう思うと、日々の料理に油分は欠かせませんが、同じ油でも「飽和脂肪酸の油」と「不飽和脂肪酸の油」は、どちらをとるべきでしょうか。

「飽和脂肪酸の油」とは、常温で固まりやすい油を指します。具体的にはバター、ラード、ココナッツオイルなどですが、飽和脂肪酸を摂取しすぎるとコレステロール値を上げて心筋梗塞や動脈硬化のリスクを高めます。代表的な飽和脂肪酸であるマーガリンはパスタを作る際に用いますが、マーガリンはもともと不飽和脂肪酸の油に水素をつけて固めています。第二次世界大戦でナチスが代用バターとして用いており、日本でもかつては「人造バター」と呼ばれていました。

 その後マーガリンと名付けられ、一時は健康的な食用油というイメージになりました。しかし、2002年のアメリカで、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が「悪玉コレステロールを増加させ肝臓に影響を及ぼす危険な化学物質」との報告がされました。善玉コレステロールも減少させるマイナス効果もあり、心臓病のリスクを高めると発表されたのです。

 現在のアメリカでは、食品中のトランス脂肪酸量の表記が義務づけられています。日本でもマーガリンの消費が減りましたが、コンビニで売られているお菓子にトランス脂肪酸が含まれるようになっています。

 つまり、いい油は不飽和脂肪酸、控えるべき油は飽和脂肪酸となります。

 そんな不飽和脂肪酸はオメガ3、オメガ6、オメガ9と3つに分類されます。

 オメガ3は亜麻仁油、エゴマ油、インカインチオイル(グリーンナッツオイル)などです。オメガ6はサラダ油、コーン油、紅花油、ゴマ油など。オメガ9はオリーブオイル、ナタネ油、アボカドオイルなどです。

 オメガ3とオメガ6は「必須脂肪酸」で体には不可欠な油です。両者の摂取比率は1対2~4が理想ですが、今の日本人はこのバランスを崩しており、調査結果によっては1対50になっているとの報告もあります。これだと体内の免疫バランスを崩してしまい、アレルギーが起こりやすくなります。オメガ3の油の摂取量を増やして、程よいバランスを保つべきなのです。オメガ3の中でも効力抜群なのが亜麻仁油です。体脂肪の燃焼を助けるので太りにくく、成分のαリノレン酸は血中コレステロールと中性脂肪を下げます。体内をきれいに掃除してくれる油と言われています。

 また、飽和脂肪酸であるココナッツオイルに血管をきれいにする効能はありませんが、消化吸収が異常に早くケトン体を作りやすい性質があるため、認知症に効果が期待できるかもしれない、と研究が進んでいます。健常者はブドウ糖で脳が動きますが、認知症の場合、ブドウ糖の代謝が悪く、その代わりにケトン体で代謝するそうで、今後の研究が注目されるところです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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