2月5日の千代田区長選挙では、小池氏が支援した現職の石川雅己氏(75)が、自民党推薦の与謝野信氏(41)にトリプルスコアで圧勝した。政治評論家の有馬晴海氏が解説する。
「出口調査で小池氏の支持率が84%にも達した結果に、自民党の都議は相当ビビッていると思います。公明党と民進党も小池氏に接近しているのが現状で、1人区では“小池印”がないと負けることがほぼ確実になったわけです」
すでに昨年12月には都議3人が自民党から離脱して、新会派「新風自民党」を立ち上げていたが、ある自民党都議は、この大惨敗に困惑しきりで、
「小池氏と自民党、どっちを向いて仕事をすればいいかわからない‥‥」
と漏らしたという。
前出、有馬氏が続ける。
「就任当初は、豊洲移転問題についても『立ち止まって考えなければいけない』『食の安全を第一に』と、厳しく言えば“漠然とした”発言が多く見られました。しかし、絶大な都民の支持を得て、知事の仕事もある程度さじ加減がわかってきたこともあり、今度は“仮想敵”を作りにかかった。それが豊洲問題においては石原氏であり、みずから“代理戦争”と公言した千代田区長選では自民党都連とそのドン・内田都議でした。今後はオリンピック問題で、森喜朗元総理(79)の名前がさらに頻繁にあがるでしょう」
こうしたホコ先の変容は、都庁職員も敏感に感じ取っている。
「豊洲の問題にしても、小池さんは昨年9月に『犯人探しは目的ではない』と明言していました。だから今回の“石原さん叩き”は、職員にとっても急転直下の大事件。もちろん、表立って小池さんにたてつく職員はいませんが、リークのタイミングを見据えて、小池さんのアラ探しを始める人間が出てきてもおかしくありません」(別の都庁職員)
それでも、小池氏は今年7月に行われる都議選をしかと見据えている。
「小池氏の一連の言動は、特に自民党の都議に対して『早く来ないと公認漏れになるよ』というパフォーマンスの部分もある。都議選で勝って、その後も自分が仕事しやすい状況を作るために、1人でも多く“小池印”の議員を増やす必要があるからです。小池氏は1月10日に安倍晋三総理と官邸で面会していますが、私はここで“仁義”を切った、と推測しています」(前出・有馬氏)
自民党所属の小池氏が、党本部の公認候補を相手に選挙を戦えば「除名処分」となるのが通例だが、
「小池さんは『自民党が自分を切るはずがない』と思っていて、恐らくそれは当たっている。自民党には、今の小池人気を国政選挙に利用したいという思惑があるからです。一方の小池さんにも、都政で実績を残せば自民党が国政の舞台で再び自分を重用するのでは、という思惑があるのかもしれません」(都政記者)
人気はさておき、「都庁分裂」で禍根を残すことにならなければいいが‥‥。