石原氏といえば99年から4期14年にわたって、都知事として強烈なリーダーシップを発揮。この石原時代を懐かしむ職員もおり、
「何で小池さんがこんなに石原さんを叩くのか、周囲は一様に困惑しています。確かに週に2日しか登庁しなかったなんて噂も聞きましたが、それが職員の仕事のやりやすさにつながった面もあった。年配の職員は特に反感を抱いている」(都庁関係者)
小池氏の「イケイケ言動」は、都庁内で反発の渦を招いているという。続けて、現役の都庁職員が重い口を開く。
「来年度の予算案の作成にしても、“都政のドン”こと内田茂都議(74)に近かったとされる職員の意見は、ほとんど受け入れられなかったそうです。確かに、ブラックボックスと言われた“内田都政”に切り込んだことは、評価に値します。ただ、行政には10年先20年先を見越した継続性が重要。行政のトップである小池知事が、メディア受けするような政策をバンバン打ち出すことで、それまでの取り組みが否定される局面も出てきた。『小池さんは都政がまったくわかっていない』とサジを投げて、“職場放棄”のポーズを見せる幹部職員もいます」
小池氏は昨年秋、都庁職員の長時間労働を是正すべく、「20時までに全職員が退庁する」という目標を掲げたが、このパフォーマンスを逆手に取る職員が激増しているという。
「第一庁舎の32階にある食堂は、夜間には居酒屋として営業していますが、小池知事になって、夜の売り上げが倍増したそうです。17時半から18時には生ビールが半額になることもあって、明るいうちからヤケ気味に飲んだくれる職員もいます」(都政記者)
そして現在、小池氏の独壇場になりつつあるのが都議会だ。東京都のホームページには、知事と議会の関係について次のように記されている。
〈「車の両輪」に例えられるように対等の地位にあり、相互にチェック・アンド・バランスの関係にあります〉
しかし、現状は程遠く、小池氏に「NO」と言える議員は皆無のようだ。01年から2期務めた元都議の後藤雄一氏はこう分析する。
「今、小池さんに反対すれば、確実にマスコミに叩かれますよね。結局、自分の選挙のことを考えると“小池叩き”は絶対にできない。象徴的なのが、石原元都知事の参考人招致を、議会が“全会一致”で決めたこと。普通だったら1人や2人、反対のヤジが飛ぶものです。『豊洲の購入を議決しておいて、何をいまさら‥‥』と笑ってしまいましたね」
いわば「両輪」ではなく「一輪走行」で決まった参考人招致について小池氏は、
「『記憶にありません』と逃げる姿勢も、国民がしっかり見ることになる」(2月10日の会見より)
と、あらためて対決姿勢をあらわにした。ある自民党都議の秘書が漏らす。
「石原さんを招致しても、議会で誰が質問するのか、という問題がある。なまぬるい質問でお茶を濁せば小池さんの不興を買うことは必至ですし、かといってとことん厳しく責任を追及すると、今度は自民党都連にニラまれるハメになる。ヤジなんてとんでもない!」
小池氏が事実上率いる「都民ファーストの会」の都議が質疑の矢面に立つことが予想されるが、
「小池さんのことですから、あえて自民党の都議を指名して、“反都連”の踏み絵にするのではないかと言われています」(前出・自民党都議秘書)
不測の事態に、自民党会派から離脱する都議が続出しても不思議ではない。今の「小池フィーバー」は、議会の最大派閥を分裂させるほどの力を秘めている。