3月21日、自民党本部に公認済み候補54人を集めて決起集会が開かれた。都知事選、千代田区長選と煮え湯を飲まされた都連会長の下村博文氏(62)はうっぷんを爆発させるように、
「イエスマンばかり集めて私兵のような人たちが都議選の過半数を確保すれば、都政が失墜する」
と小池氏を名指しで痛烈に非難。豊洲問題について、
「都議選を政争の具にして、自民党にダメージを与える戦略ならば、それは邪道だ!」
と語気を強めたのだ。
都連最高顧問の深谷隆司氏(82)が都民ファーストの会の公認候補について、「自民党の公認が得られない落ちこぼれだ」と罵倒すると、会場から大きな拍手が起きたという。
「都議選の約3カ月前に、挙党態勢で取り組むことを確認するために会合を開くのは異例。小池人気に対抗するため、都連は安倍晋三総理(62)に各選挙区の遊説を要請しています」(自民党関係者)
仮に、都議選で大敗を喫すれば次期衆院選で東京選挙区をサポートする「実働部隊」がいなくなるため、目の色を変えたようだ。
小池氏の政治手法は「抵抗勢力」を作る、かつて仕えた小泉純一郎元総理(75)と同じ“流儀”。都知事就任後も都議会のドン・内田茂都議(78)ら自民都連を「抵抗勢力」に見立てて討ち払った。05年衆院選で小泉氏が圧勝した「郵政」に当たるのが「豊洲」と言える。
「都議選は『豊洲問題の責任の追及』を争点に戦うでしょう。知事側は『豊洲に決めた責任』を、自民側は『移転させない責任』を問う構図です。が、これでは豊洲は動かない。都議選圧勝を追い風に、基準値を変更して移転するというプランが検討されています」(都議スタッフ)
何とも“オキテ破り”なウルトラCだが、小池氏にとって、やっかいな“敵”が現れた。「小池vs石原」のバトルに、前大阪市長の橋下徹氏(47)が参戦してきたのだ。20日に更新した自身のツイッターでは、
〈地下水のベンゼン100倍でも法的・科学的に安全だって。こんなことは昨年8月末、小池さんが移転延期判断をしたときにも分かっていたこと。つまり小池さんは専門家会議とじっくり議論もせずに移転延期判断をしたことになる〉
政治の世界から足を洗った橋下氏だが、その発言は自民の「対小池」への“虎の巻”となっていた。
「小池氏が知事就任した頃は、友好関係を築きたかった官邸サイドが、橋下氏に批判をしないようお願いをしていました。しかし豊洲移転問題の責任が石原氏に向くと、公式メールマガジンやツイッターで“援護射撃”の批判を繰り返すようになりました。その解説が丁寧でわかりやすく、自民党の都議も参考にしているそうです」(政治部記者)
豊洲市場の移転の判断について、「早くて今夏」としてきた小池氏。「決断」も都議選の票読みしだいのようだ。