2大会ぶりのメダル獲得を果たし、IOCの選手委員選挙でも当選。有終の美を飾ったはずの室伏広治(37)を襲った「当選無効」騒動だが、なんと身内から足を引っ張られた可能性が指摘されているのである。
2020年の東京五輪招致に向け、日本人の選手委員を誕生させるのはJOCにとって重要な意味を持っていた。
立候補したのは室伏。
「ドーピングが横行してきた、ハンマー投げという競技でクリーンに戦い、結果を出してきた室伏は、外国人選手たちからも尊敬を集め、好感度が高い。まさしく選手委員にふさわしく、今五輪では室伏自身もメダル獲りと同じぐらいに当選を目標にしてきました。だから早くから選手村入りを果たし、熱心に活動を続けたのです」(アマチュアスポーツ担当記者)
そんな思いが高じすぎたわけではなかろうが、活動が禁止されている選手村食堂で、自分の名前が入ったステッカーを配布してしまい、問題視されたのだ。
結果、最終的に上位4人の当選者に入ったにもかかわらず、室伏は当選を無効とされた。当の室伏は「違反の認識はなかった」と話し、8月17日現在では話し合いが続いているが、騒動が勃発した背景には、IOCとJOCでルールの解釈に違いがあったようだ。
「実は8月4日に行われた中間総括会見の席で、橋本聖子副団長(47)がステッカーを配って回る室伏の活動を『すばらしい』と絶賛していたんです。もちろん禁止区域でもやれという意味ではないでしょうが『もっと意欲的にやれ』という意味ですよ」
こう語るスポーツライターが続けた。
「橋本副団長は、日本選手団の責任ある立場で現地に行っているわけですから、あおるばかりでなく、ルールをきちんと確認すべきだった。室伏にきちんとした指示を出しておかなかったのは、管理責任が問われかねないでしょうね」(スポーツライター)
かつて違反失格選手が出たことで繰り上げ金メダルを獲得した室伏が、逆の立場になってしまっては何とも後味が悪い。