今週から東西とも舞台が替わり、「中山記念」が中山で行われる。今年は新設GI大阪杯の前哨戦ということもあり、各陣営の“思惑”が馬券的なポイントになりそうだ。一方、阪神の「阪急杯」は、シュウジが断然の人気!
伝統ある中山記念が今週のメイン。中山の開幕週を飾るにふさわしい重賞だが、新設されたGI大阪杯の前哨戦ともなる一戦だけに、その重みは、いやが上にも増すというものだ。
その大阪杯は中距離馬が手中にしたいビッグタイトルで、秋の天皇賞と同じ2000メートル戦。ならば、この中山記念は、盾の前哨戦である同じ1800メートルの毎日王冠と等しい位置づけ。ファンとしても見逃せない重要な一戦だ。
顔ぶれもいい。ヴィブロス、ヌーヴォレコルト、リアルスティール、ロゴタイプとGI馬が4頭。さらには重賞勝ち馬も多く、見応え満点の白熱した競馬が見られること請け合いだ。
ただ、どうだろう。これらのGI勝ち馬は、いずれも今年初戦。久々のレースになるだけに、持てる力を存分に発揮できるかどうか。各馬の最終追い切りから目が離せまい。
では、どういう傾向があるか、データをひもといてみよう。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの14年間、その馬単で万馬券になったのは2回のみ(馬連は1回)。1番人気馬は5勝(2着1回)、2番人気馬は3勝(2着2回)。比較的、本命サイドの重賞と言っていいだろう。
年齢的には7、8歳の高齢馬の頑張りもまま見られるが、やはりイキのいい4、5歳馬の連対が目立つ。また、近走の成績がいい馬が勝ち負けするケースが多いのも特徴だ。
実績があって近走の成績がいいとなると、休養後2連勝中と勢いに乗るツクバアズマオーを真っ先にあげなければいけない。でも、穴党としてはおもしろくない。もうひとひねりして、サクラアンプルールに期待を寄せてみたい。
こちらは重賞勝ち鞍がなく、前走の白富士Sが初オープン。しかし、その昇級初戦はクビ差2着の善戦だった。このレースは、東京の2000メートル。外枠不利のコース形態で、14頭立ての14番枠からこれだけの競馬ができたことは高く評価しなければいけないだろう。能力が高いからこそで、ここにきての充実ぶりがうかがい知れよう。
デビュー当時は体質が弱く、地方競馬に移籍していた時もあった。中央に戻ってからも休みがちで、だから明け6歳になった今も、肉体的には若々しい。
「まだ伸びしろは十分。これからの馬です。この中間さらに良化。期待していた素質馬ですし、強敵相手にどこまでやれるか楽しみ」 と、金成調教師はヤル気のほどをにじませる。
1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。状態のよさは明らかだ。
宝塚記念2着のサクラメガワンダー(鳴尾記念、金鯱賞など重賞4勝)の弟で、サクラチトセオー(天皇賞・秋)が近親にいる血筋からも、これからの活躍が見込める馬。中山の芝は〈3010〉と得意としており、大きく狙ってみたい。
阪神は阪急杯がメイン。こちらはGI高松宮記念の前哨戦だ。
狙ってみたいのは、トーキングドラム。昇級初戦の前走・洛陽Sは、勝負どころで外にハジかれるロスを被ったのが痛く4着に敗れたが、勝ち馬とコンマ4秒差なら善戦だ。中1週だが疲れもなく、順調。距離が1ハロン短くなるのは歓迎だ。
近親、一族にクリスエヴァート(米牝馬3冠)、ウイニングカラーズ(ケンタッキーダービー)、チーフズクラウン(米GI8勝)など活躍馬がズラリといる良血。阪神コースは初めてになるが、先行脚質のこの馬にはピッタリ。“一発”があっていい。