天災から身を守る先人の知恵
──他に地震や津波などの天災も気になるところです。
まぁ、地震が来ることは間違いないですよ。でも、いつ来るかは今の技術では予測することができません。10年後に首都直下で起きる可能性はかなりありますが、いつ起こるかは正直わかりません。
──今年7月には九州で、8月には近畿で記録的な集中豪雨による被害がありました。今後もこうした異常気象は続くんでしょうか?
温暖化が進むと気候変動でいろんなところのバランスが崩れることによって異常気象で被害が出てくるんです。でも今回の九州の被災地では、いち早く避難ができて無事だったところもあります。地元の伝承で「ここは昔、大水が出て大変だった」と聞かされてきた。それを思い出したおかげで助かったといいます。過去にも異常な大雨はあったんですね。
──東日本大震災でも似たようなことがありました。
そう、津波と同じなんですよ。〈ここより下に家を作ってはいけない〉という昔の碑が今回東日本のあちこちで見つかったでしょ。それに、小名浜、女川などオナ〈男波〉という地名は過去に津波で大きな被害を受けてたという証拠なんですね。
──そうだったんですね。
昔の人が危険だよということでわざわざ地名に残したところがあるわけですよ。それが再開発で、希望が丘とか夢が丘とかいう名前で売り出したり、行政区画の整理とかで古い地名がどんどんなくなっていったりするわけです。東京だと、天沼とか沼袋とか沼が付く地名があるでしょ、ここは低地で地盤が悪いよ、水が出るよ、と警告した地名なんです。
──そういう伝承は代を重ねるに連れ、どんどん薄れていってしまう。
そうなんですよ。最近いろいろな市町村で、大雨が降った時にはどこまで水没する可能性があるかというハザードマップを作っています。あなたの町にそれがないか、チェックしてみてください。あなたがマイホームを持つ場合、最近の市町村合併などによって、新しく付けられた地名だったら、もともとの名前を調べてみることをぜひお勧めします。
──10年後を見据える前に、まずは足元からということですね。
そのとおりです。安い住宅も土地も理由があって安いんですね。そうすると、何でこの住宅は安く分譲されているかなんてことがわかるかもしれませんよ。
──今回も勉強になりました。ありがとうございます。