「ノンカロリー」「カロリーゼロ」「カロリーオフ」の飲料水や食品が売れている。カロリーを減らしてダイエットにつながる、血糖値を抑えられる、などと人気なのだが、なんと薄毛に繋がると警鐘が鳴らされているのだ。
糖分の摂りすぎは肥満、低血糖症、糖尿病のもとになると、砂糖不使用のノンカロリー製品が1980年代に登場した。その後、WHO(世界保健機関)が、糖分摂取量は一日のエネルギー摂取量の5%未満で、標準体型の成人が約25グラム、すなわち小さじ6杯分を推奨するようになり、現在のような「カロリーゼロ」等のネーミングの商品が溢れだした。
日本人の肥満の割合は、男性が27.8%(厚生労働省調べ)で年々増えており、それに伴って売れ行きも右肩上がりなのだが、このノンカロリー食品が実はダイエットに役立たないという意見のほかに、薄毛の原因にもなるとの説が出てきたのだ。その根拠がノンカロリー商品の「正体」にあるという。管理栄養士の中川貴子氏が明かす。
「厚生労働省の栄養成分表示のルールでは、100ミリリットル(グラム)あたりの糖質が0.5グラム未満の食品は「ゼロ」「フリー」「レス」「ノン」などの表現が許されています。しかし、ゼロカロリーの清涼飲料水500ミリリットルには24キロカロリー程度が含まれていると思えばいい。ガブ飲みしていると、多量のカロリーを摂取することになります」
さらに怖いのが、砂糖の代わりに含まれている人工甘味料だという。「カロリーゼロにだまされるな──本当は怖い人工甘味料の裏側」(ダイヤモンド社)の著者で医師の大西睦子氏は、著書でこのようなことを述べている。
「人工甘味料は通常の砂糖の数百倍の甘さを持ち、脳の快楽中枢に作用して、摂取すればするほど、また欲しくなるという中毒症状を引き起こす。“甘み依存症”という症状は、薬物以上の依存性がある」
現在、日本で使われている人工甘味料は「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」「ネオテーム」などがあるが、いずれも比較的新しく商品化されたもので、そのすべてが解明されているわけではなく、問題も多く指摘されているという。
さて問題は、前述した「頭髪にも影響を与える」という点である。ヘアコンサルタントの五十嵐洋子氏が言う。
「血糖値が高いと細胞が炎症を起こしてしまい、それが薄毛の原因にもなるんです」
簡単に言えば、血液がドロドロになることで血流が悪くなり、頭皮などの毛細血管に送るべき栄養が十分に届きにくくなるからだというのだ。自己責任とはいえ、口にする物には細心の注意を払いたいものだ。
(谷川渓)