タレントの松本伊代と早見優がJR山陰線の線路内に立ち入ったとして問題になったのは記憶に新しいが、一般の鉄道ファンによるトラブルも続出している。3月21日にはJR北海道石北線で撮り鉄と思われる男性が「大雪1号」に跳ねられる事故が起きた。同時期のJR大阪駅では撮り鉄の無謀な行動が問題になり、駅員が怒りの声を上げる動画が動画投稿サイトにアップされている。
そんなトラブル続きの中、国鉄を象徴する「583系」が4月8日、秋田県の秋田駅から青森県の弘前駅までラストランを行った。
「国鉄時代を思わせる電車はこの583系が最後であること。この日を逃すともう2度と撮れないということで、沿線に撮り鉄が殺到すると予想されました。トラブルが起きるのではないかと心配する声も出ていました」(鉄道ライター)
予想通り日本中から鉄道ファンが集まったようで、前日の夜に東京を出発する深夜高速バスは、三脚や脚立を持った人が乗客の半分以上を占めていたという。
沿線のあちこちでカメラの砲列が見られたが、中でも白沢駅と陣場駅の間にある有名撮影地は多くのファンが集まった。
「前日の夜から場所取り用の三脚が林のように並んでいました。最終的に150人以上いたでしょうか。ただ目立ったトラブルはなく、無事にラストランは行われました」(前出・鉄道ライター)
今回のラストランは何事もなく終了したが、次も無事とは限らない。なぜ近年、撮り鉄のトラブルが続いているのか。鉄道ジャーナリストはこう説明する。
「1番の理由は撮る対象が減ったことが挙げられます。以前ではあればブルトレや臨時列車など“ネタ”がいくつもありましたが、今は引退や廃止で数を減らしています。そのためひとつの列車に多くの撮り鉄が集中し、場所取りを巡ってトラブルになるんです。また、デジタルカメラの普及によって敷居が低くなったことも理由のひとつ。昔であれば先輩に現場のマナーや撮影について教えられてデビューしましたが、今は若い世代がそれらをすっ飛ばして入ってきます。そのためマナーが守られず騒動が起きるんです」
松本と早見が問題を起こしたのも無知が原因。タレントも鉄道ファンも大差はないのかもしれない。