木村拓哉主演の映画「無限の住人」が興行的に苦戦している。原作漫画の連載が5年前に終わっていることも含め、苦戦の要因はさまざまに考えられるが、これまで人気コミックの実写映画化に積極的だった製作・配給のワーナー・ブラザースの近年の動向を見ると、この傾向は今作に限ったことではない。
ワーナー・ブラザースは06年の「デスノート」2部作で合わせて80億円を超える興行収入を上げ、コミックの実写作品の大作化を推し進めるとともに、その後も「るろうに剣心」(12年・14年)の3部作で合計120億円を超えるメガヒットを記録するなどプロジェクトを成功させてきた。ところが昨年は「テラフォーマーズ」が7億9000万円、「デスノート」シリーズの新作「デスノート Light up the NEW world」が22億円の興行収入で、失敗とは言えないまでも、かつてのシリーズと比べると新たなムーブメントを起こすまでのヒットにはならなかった。苦戦の予兆はすでにあったといえるのだ。
「ワーナー・ブラザースとしては海外でも人気の高い原作をチョイスして世界に売れる作品を目指し、それなりに製作費をかけた実写作品を定番化させていく戦略の一環だったはずですが、その歯車がここに来て狂い始めているようです。視覚効果をふんだんに使った映画の場合、現在の日本では監督・スタッフとも同じ顔ぶれが多く、作風に新鮮さが感じられないことも不振の一因と思われます。今後も8月に山崎賢人主演の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』をはじめ、小栗旬主演の『銀魂』、年末には山田涼介主演の『鋼の錬金術師』と話題の作品が続きますが、これらがある程度の成功を収めないと、少年・青年コミックの実写化そのものを見直さなければならなくなるでしょう」(映画ライター)
ワーナー・ブラザースと人気コミックの実写映画化にとって正念場を迎えることになりそうだ。