最近の制裁では、ニュージーランドTで勝ったジョーストリクトリのシュタルケ(43)が4コーナーで斜行(過怠金3万円)し、マイラーズCでは福永祐一(40)のフィエロが失速してフラついて戒告(口頭注意)を受けた。
「ニュージーランドTは3着までがNHKマイルCへの優先出走権を得られただけに、4着に終わった吉田隼人(33)の怒りは半端じゃなかったですね。マイラーズCで2着だったエアスピネルの武豊(48)も『あれがなければ』と、珍しくムッとしていました」(栗東記者)
毎週のように制裁絡みの戦いが生じる中、時には遺恨を残し、“ケンカ激突”へと発展することもある。
「木幡巧也と騎手会のご意見番・蛯名正義(48)は、周囲を巻き込んでバトルを展開中です」(美浦担当記者)
発端は昨年、蛯名が木幡巧の騎乗ミスを注意したことだった。
「巧也は超が付くほどの負けず嫌いで、負けたレースのVTRを検量室のモニターで見ながら悔し涙を流すほど。それを見かねた戸崎が『泣いてんじゃないよ』と声をかけるぐらいです。もっとうまくなれ! という励ましも含まれているんですが、蛯名の叱責はキツい(苦笑)。『ここ、行くとこじゃないだろう!』『フラフラするな!』と、人前で声を荒らげるものだから、怒られる側も萎縮したり、反抗的な態度を取りがちです。巧也が怒られた時もオヤジの初広や長男の初也まで顔を出し、コトが大きくなっていった」(ベテラン記者)
まさに蛯名vs木幡家の様相を呈しているが、このバトル、すでに2人だけの問題ではなくなっていた。
「実は巧也が所属する牧光二調教師がバックアップしているんです。牧先生は体育会系の方で『もし馬主から騎乗についてクレームがきても、俺がカバーしてやる』と励まし、新人王のタイトルに導いたほどの熱血漢。この“蛯名騒動”でも『誰であろうが、男はナメられたらダメだぞ!』と巧也を励ましています」(前出・ベテラン記者)
ただ、1人の騎乗ミスが本人だけでなく、仲間の生死にも関わることだけに、先輩が口うるさく指導するのもわからなくもない。
「昨年は巧也の制裁点が高かったですし、デムーロのように経験と技術の裏付けがあっての積極さではない。無謀な騎乗に映るケースもあるでしょうし、蛯名は心配しているんだと思います。事故が起きてからでは遅いですからね」(前出・美浦担当記者)
今年も木幡巧は2月25日に不注意騎乗による騎乗停止処分を受けた。4月15日の福島開催でも斜行し、短期間に同様の不注意騎乗を繰り返し行ったことで、9日間の騎乗停止になっている。これで今年の制裁点ランキングでも首位争いに加わってしまった。