春のGIのハイライト、日本ダービーが終了し、JRAでは新馬戦がスタートする。話題は何といっても、今年産駒を出す新種牡馬たち。質量ともに、近年まれに見るハイレベルな世代と評され、馬券検討のうえでも絶対に注意が必要なのだ。
さっそく、主な新種牡馬の狙いどころを見ていこう。
競馬関係者の間で注目度が格段に高いのは、ロードカナロアだ。19戦して13勝、2着5回、3着1回。13年には年度代表馬に選ばれた、歴史的な名スプリンターである。登録頭数が180頭と最も多いことを見ても、その重要性がわかるだろう。
人気の理由は「キングカメハメハ×ストームキャット(母父)」という、現代のトレンドに最も合う血統の持ち主であること。そして何より強みなのは、サンデーサイレンスの血が入っていないため、サンデー系の繁殖牝馬とバンバン交配できることだ。事実、サンデー系牝馬との配合が目立っている。
「といっても、交配相手の選択範囲はかなり広く、その意味でも成功確率は高いと言えます」
と言って、次のように解説するのは、ベテランの競馬ライターである。
「産駒は総じて筋肉質で幅があり、機敏性にも富んでいると評判です。管理する社台スタリオン側はスプリント力がアピールポイントだと言いますが、現役種牡馬として健在な父キングカメハメハとの棲み分けを意識しての発言でしょうね。中には中距離をこなす馬も出てくると思います」
馬券で狙っておもしろいのは、ダート戦。自身はダートを走ったことはなかったが、血統面や力強い走りから、間違いなく合いそうなのだ。初年度に31頭の牝馬を付けたノーザンファームの吉田勝己代表も、複数の競馬関係者に「ロードカナロアの仔はダートもいける」と明かしている。
ロードカナロアと並んでファーストシーズン・リーディングサイヤーの座を争うと見られているのが、3冠馬のオルフェーヴルである。一足先に種牡馬デビューした全兄ドリームジャーニーはこれといった馬を出していないが、弟のほうはすこぶる期待が持てる。交配された繁殖牝馬の質が非常に高いうえ、登録頭数も153頭と多いからだ。
その稀代の能力を受け継ぐ産駒はバネを備えた馬が多く、繋養先の社台スタリオンでは、マルチタイプの優れた種牡馬になるのでは、と見ているという。
社台が強気になる背景には、こんな理由もある。
「来年にはビッグレッドファームで繋養されているゴールドシップの仔がデビューします。父親(ステイゴールド)が同じなので、負けるわけにはいきません。先に優れた成績を出して、向こうをひるませるつもり。心配があるとすれば、激しい気性面でしょうが、今のところ産駒から悪い話は聞こえてきません。父同様に気性の勝った仔は出てくるでしょうが、それがうまく勝負根性につながれば楽しみです」(牧場関係者)
いずれにせよ、2年前に亡くなったステイゴールドの後継種牡馬としての期待は、とてつもなく大きい。