近年のディープ産駒はダノンシャーク(マイルCS・芝1600メートル)、リアルスティール(ドバイターフ・芝1800メートル)、エイシンヒカリ(イスパーン賞・芝1800メートル)のように、2000メートル以下のGIで活躍することも目立ってきた。こうした傾向が強まっている裏には、付けている牝馬との兼ね合いもある。さる血統研究家が言う。
「社台はディープ用に海外から目ぼしい牝馬をたくさん買い付けていますが、多くはスピードに勝ったタイプ。軽い日本の芝にはそれがいいのでしょう。その結果、産駒は年々、マイラー色が強くなっている。スタミナにも優れた種牡馬リファールをクロス(4×4)に持つジェンティルドンナのような馬なら、2000メートルを超えても大丈夫だし、ピークも長いのですが」
事実、ジェンティルドンナは古馬最大のレース、2400メートルのジャパンカップを2度制覇した。他のディープ産駒でこのレースを勝っているのは、牝馬のショウナンパンドラのみだ。牡馬よりも牝馬の産駒に大物が出ることから、ディープインパクトはフィリーサイヤー(牝馬に活躍馬が偏る種牡馬)の典型だと言われたりもする。
「完全に決めつけることはできないが、競馬関係者は桜花賞、皐月賞の結果を見てロードカナロアやオルフェーヴルといった新種牡馬に目を移していくことでしょう。まず生産者です。昨年、ディープを自分のところの牝馬に種付けした牧場は、このところのディープ産駒の不振に不安げです。今の状況では生まれた仔は思うような金額で売れないかもしれない、と。いや、これまでディープ産駒を生産の柱にしていたところは、種付け料の大幅アップもあって、否応なしに種牡馬チェンジせざるをえなくなるのでは」(馬産地関係者)
社台自体はそれでもほとんどダメージを受けない。ロードカナロア、オルフェーヴルの2頭とも社台スタリオンで繋養しており、500万円から800万円に種付け料が上がったロードカナロアだけで何億円ものプラス計上となるからだ。
16歳のディープインパクトの種牡馬生活もそう長くないと見れば、そろそろ世代交代が始まってもいいと思うはず。それは馬主も同じで、はやばやと夏のセレクトセールでディープインパクト以外の種牡馬に予算を振り分けたい、と公言している人もいるほどだ。