種牡馬・オルフェーヴルの期待度について、東京スポーツでコラム「海外競馬解析」を執筆する秋山響氏が話す。
「1200万円で種牡馬入りしたディープに負けないほど、海外での知名度も抜群なので、繁殖牝馬が送られてくる可能性は高そうです。その強さは誰しもが認めるところです」
血統に詳しい競馬ライターの水上学氏が、オルフェーヴルの特長について解説する。
「種牡馬として注目されるのは、父母の双方から伝わる大種牡馬ノーザンテーストの遺伝力。そもそもオルフェ自身がそっくりの外見です。70年代末から80年代にかけての日本競馬を支えたスーパーサイアーのパワーが、オルフェを通して産駒に伝わるかどうかが大きなポイントです。また、父・ステイゴールドの気性の強さ、これは父の叔父であるサッカーボーイに由来するもので、勝負根性という意味でプラスに作用するはずです」
気になる点は、名種牡馬の3代目という血統背景。ここ50年の最高種牡馬と呼ばれるノーザンダンサーの場合、孫のガリレオとデインヒルが、欧州とオーストラリアを席巻しているが、日本ではこの点を不安視する声も聞かれる。水上氏が続ける。
「中央競馬ではフジキセキ産駒の種牡馬(ダイタクリーヴァなど)、アグネスタキオン産駒の種牡馬(ディープスカイなど)が子供をデビューさせているが、SS3世代目種牡馬から、ここまで大物感を漂わせている馬は出ていない。ただ、それも当然で、牧場もSSやディープを付けていた一流の繁殖牝馬を、そうそう毎年SS系にばかり配合するわけにはいかないし、日本競馬にSS系が飽和しつつあることもあって、より配合相手が限られてしまう。だから3代サイアーラインが定着するのはかなり困難なのだが、オルフェ自身がかなり傍系の母を持っているので、SS系以外ならどの系統の牝馬でも付けられる強みがある。その意味では産駒に多様性が出てくる可能性もあって、リーディング上位も夢ではないだろう。反面、オルフェ自身のレースぶりからは『一代横綱』になりかねない強烈な個性がうかがえるので、その悪い面が強く出そうな不安もある。期待と不安、半々といったところです」
慎重を期した種付け作戦が吉と出るか凶と出るか。オルフェーヴルの快進撃第2幕に期待したい。