産駒の登録数が100頭を超える新種牡馬は、他にも3頭。11年のダービー馬エイシンフラッシュ(133頭)、アメリカでGIを2勝したヘニーヒューズ(128頭)、13年の英GIキングジョージをレコード勝ちしたノヴェリスト(103頭)である。実はアサ芸が最も注目しているのはエイシンフラッシュなのだ。競馬関係者の間では「危険な新種牡馬」と見る向きもあるが、競馬ライターは、こう言って太鼓判を押す。
「父キングズベストも、その仔ワークフォースの産駒成績も芳しくありません。しかし、海外から連れてきたわけではないキングマンボ系の種牡馬を見ると、事情は違う。キングカメハメハをはじめ、おおむね成功しているんです。強調したいのは、エイシンフラッシュが日本の速い上がりの競馬に対応できる脚を持っていたこと。日本ダービーの上がり32秒7は、レース史上最速でした。コース適性は高い、と見ていいでしょう」
血統評論家の加藤栄氏も、高評価する。
「エイシンフラッシュは4分の3がドイツ血統で、4分の1が異系という配合。サンデーサイレンス系はもとより、どんな牝馬とも交配できます。これは大きな武器となる。キレキレのスピードを持ったサンデー牝馬との間で生まれた仔は走ると見ています。早熟性にも富んでいるので、早くから活躍馬を出すでしょう」
ちなみに、地方競馬でのことだが、5月20日の盛岡・新馬戦(芝1000メートル)で、産駒のサンエイヴィーナスが鮮やかな末脚を繰り出して勝利を飾っている。産駒は今週末から開催される第3回東京競馬で次々と登場する予定だ。
社台がドイツから導入した欧州のビッグネーム、ノヴェリストはどうか。父モンズーンはドイツの大種牡馬で「産駒は出来不出来が大きい」との指摘もある中、長距離向きの晩成型として知られる。
「ドイツ血統にはビックリするような名馬を生み出す恐ろしさがあるので侮れませんが、タイプとしては目黒記念やアルゼンチン共和国杯で活躍する馬を思い浮かべればいいでしょう。2歳の初めからというより、長い目で見てやりたい」(前出・加藤氏)
古馬になってGIでは足りないが、主に2500メートル以上の距離で活躍する、というタイプのようである。
内国産種牡馬に目を移すと、ローズキングダム、ロジユニヴァースも気になるところ。だが前者は母父がサンデーサイレンスであるため配合に難しさがあり、後者は引退時期が遅れたことがネックとなっている。初年度に結果を出せないと苦しい種牡馬生活を強いられることになりそうだ。
最後に隠し球的な新種牡馬を。
「ダイワメジャー産駒初の種牡馬デビューとなるトーセンロレンスは、セレクトセールで超高値が付いたディープインパクトの半弟。残念ながら競走馬としては未出走のまま終わりましたが、血統のよさを買われて種牡馬入り。JRAに登録がある馬は4頭だけながら、全て島川隆哉オーナーが自分の牧場で手塩にかけて育ててきた馬で、評判も上々です」(前出・競馬ライター)
その中の有望馬トーセンウインクは調教でかなり速い時計を出しており、3回東京でデビュー予定。どんな走りをするか、注目だ。