テリー 寺内さんはギターを何本ぐらいお持ちなんですか?
寺内 50本くらいかな。すぐ弾けるギターが20本ぐらい、他にも12弦ギターとか、いろいろあるし。
テリー それはちゃんとしたところに保管されてる?
寺内 うん。そのための家があるから(笑)。
テリー やっぱり24時間エアコンをつけたり、室温を一定にしたり、と気を遣っていますか。
寺内 ギターは、冷やしたり暖めたりしたらダメなんだよ。特に柔らかい木材の場合だと一発でイッちゃうからね、エアコンなんて、もってのほか。
テリー ギターは毎日触るんですか? あるピアニストの方が「1日1時間でも2時間でも、毎日ピアノに触れたほうが指の訓練になる」って言っていましたけど。
寺内 触らない。
テリー えっ、全然?
寺内 うん。もし1週間休みだとしたら、1週間まったく触らない。
テリー へぇ~、そんなものなんですか。THE ALFEEの高見沢(俊彦)さんなんか、トーク番組なのにギターを持って出たりしてますけどね。たぶん、ギターを持ったほうが落ち着くんだとは思うんですけど。
寺内 まぁ、そういう人もいるよな。でも、俺は触んないんだよ。仕事がない時なんかにギターに触っちゃうと、「あの曲はこうしたほうが」「もうちょっと、こんな弾き方を」とかやってるうちに、あっという間に夜が明けちゃうんだよ(笑)。うまくなろうと思わないほうがいいよ。ギターなんか、心のままに弾けばいいんだから。
テリー それは感性で弾く、みたいな感じですか?
寺内 そうそう、感性ですよ。たとえ同じメロディーだって、昨日今日明日、弾くたびに全然違うんだから。
テリー もしかして、今でも自分で楽器や機材の開発をしてるんですか?
寺内 うん、全部だよ。だから大変なんだ。1ミリ大きい、1ミリ小さいみたいな誤差がちょっとあるだけで、部品から何から全部やり直しだから。
テリー そこまでやらないと、寺内さんの気が済まないんですね。すごいこだわりだなァ。
寺内 合わなかった部品を夜中に鉄工所で削ってさ、ぴったりのミリ数になって、それがストーンとあるべき場所に落ち着いた時っていうのは最高だね。その状況で、もう出てくる音もわかってるからね。
テリー 寺内さんは音楽家であると同時に、研究者でもあるんですね。
寺内 フフフ、そう言えるだろうし、「バカ」とも言うんだろうな。
テリー いや、そんなことないですよ。自分が求める音を器材から何から含めて、ずっと追求してるわけですよね。
寺内 音を追求しているとか、そんな難しいことじゃないんだな。もっと直観的にね、「こんなギターで、もっとタッチを強く弾いてみたらどうなんだろう?」とか、そういうアイデアを思いついたら、もう寝られないんだ。本当、楽しくてしょうがないんだよな。
テリー いいなぁ。そこまで長年熱中できるものがあるなんて、実にうらやましいですよ。
寺内 俺としては、ただいいギターを弾きたい、それだけなんだけどね。